2014 Fiscal Year Research-status Report
直腸がん肛門括約筋温存術後の排便障害軽減へ向けた看護支援の挑戦的取り組み
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23593221
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 正美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60279833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 美鈴 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10320772)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 直腸がん / 低位前方切除術 / 肛門温存術 / 排便障害 / 看護プログラム / 術後障害 / 介入評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、直腸がん低位前方切除術など肛門括約筋温存術後患者を対象に、排便障害の軽減・改善さらにQOL向上を目的として「修正版看護支援プログラム」を実践し、その効果を検証することである。 術後早期の46例(介入群23、コントロール群23)を対象に、看護プログラムの効果をまとめた。論文発表は現在準備中のため、以下に概要をまとめる。プログラム内容は、退院後の初回外来とさらに3か月後の2回外来で看護面接を行い、排便障害が生じるメカニズムや骨盤底筋運動、残便感や排便のとらわれから逃れる対処法、便性の調整方法に関するセルフケアを促進する教育的関わりである。介入効果は排便障害評価尺度ver.2を中心に排便障害の程度とQOLの視点から、術後1か月(ベースライン)、3か月、6か月、1年で評価した。その結果、「排便へのとらわれ」が軽減し、排便行数が減少して排便障害が軽減する効果があった。残便感などの感覚自体を改善することは困難だったものの、便意のとらえ方が変化することで、残便感が持続しながらも、排便にとらわれないように生活することができるように改善した。 また、術後遠隔期で排便障害に難渋しているケースを対象に、パイロットスタディを実施した。4~8週間ごとの外来通院時に看護面接を行った。残便感と排便困難から生活に支障を感じており、緩下剤の調整や食事内容やリズムが不適切なケースであった。行動や対処の修正を提案しても、行動修正は困難な傾向があったが、自己評価は上昇した。 この看護支援プログラムは医師との連携が不可欠であるため、外来での連携診療に取り組み、学会で発表した。さらに、作成した看護介入プログラムをQOLに関する看護学研究者の視点よりブラッシュアップし、また評価アウトカムを検討するために、イリノイ大学シカゴ校を訪ね、専門家よりアドバイスをもらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「修正版看護支援プログラム」のパイロットスタディを1施設の外来で実施したが、外来での看護支援プログラム実践者を確保することに困難があり、調整に時間を要した。また、医師との連携体制を議論し合意し実践する調整に時間を要した。 年度途中で研究者の所属が変更したことにより、リサーチフィールドの変更が余儀なくされ、新しいフィールドでの研究実施準備に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに追加し確保された研究実施フィールドにおいて、術後1年以内の術後早期の患者を対象としたプログラムを、パイロットスタディをもとにブラッシュアップし、その効果を検証する研究を進める。看護支援プログラムの効果を測定する「排便障害評価尺度ver.2」の信頼性と妥当性を検討するリサーチを同時に進める。 平成27年度は本研究の最終年度である。当初の予定では、排便障害の軽減に有効である看護支援プログラムを検証し、看護師対象の完成版プログラムと患者配布用の完成版リーフレットを作成して、本手術を実施している全国の医療施設に郵送することを目標としていた。しかし、排便障害の軽減に有効である看護支援方法について洗練し整理されてきたものの、医師との連携体制のもと汎用性のある看護方法としてプログラム化することは容易ではなく、また効果を検証するには、もう少し時間が必要と考える。 したがって、本研究の最終ゴールを、術後早期の患者を対象としたプログラムに限定し、排便障害軽減へ向けた看護支援プログラムの効果検証のパイロットスタディを終了する所までをゴールに変更する。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表を計画していた学会があったが、研究の進捗が滞ったことから成果をまとめるには至らず今回の発表は見合わせたため、その分の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
12月に開催される看護系学会で発表する予定で、現在準備中である。
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Research Products
(3 results)