2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性腫瘍発症前診断に対するチーム医療による効果的な遺伝カウンセリング体制の構築
Project/Area Number |
23593233
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笠城 典子 鳥取大学, 医学部, 講師 (60185741)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康江 鳥取大学, 医学部, 講師 (10346348)
難波 栄二 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 教授 (40237631)
菊池 義人 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50389558)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 遺伝カウンセリング / 遺伝性腫瘍 / 発症前診断 / 気分プロフィール検査 / 認識調査 / チーム医療 |
Research Abstract |
日本の文化および遺伝に対する認識に対応した遺伝カウンセリングシステムが構築できていない現状がある。本研究は、一般医療者の認識を把握したうえで遺伝学的検査実施前のクライエントの心の動きに着目して遺伝カウンセリングが与える影響を明らかにし、遺伝性腫瘍を中心にチーム医療による発症前診断に対応する遺伝カウンセリングシステムを構築することを目的としている。本年度は、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得たので、鳥取大学医学部附属病院遺伝子診療科を初めて来談し、研究協力が得られたクライアント6人を対象に、遺伝カウンセリング前後でのPOMS(Profile of Mood States)短縮版を実施し、気分・感情の変化をみた。さらに、来談のきっかけ、相談事項について事前に調べてきたか、相談者の有無など、来談時の準備状況等の調査を実施した。通常の遺伝カウンセリング実施後、来談前に知っておきたかったこと、提供された情報・説明についての理解、相談についての満足、遺伝カウンセリングの時間・費用についてなどについてアンケート調査を行った。その結果、遺伝カウンセリングが不安の軽減になり、満足に思っている対象者が多かったが、情報・説明の理解には個人差があった。対象者は、来談前に、費用、時間、家族歴(家系情報)聴取の実施についての情報提供が必要と考えていた。さらに、明確な目的をもってというよりは勧められて来談している対象者が多く、遺伝カウンセリングに関する事前情報提供が不十分であることが考えられた。得られた知見は、勉強会等で紹介していく予定である。今後も引き続き調査を行い、検討する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝性疾患の発症前診断に関連したクライアントの来談がなく、発症前診断に至ったクライアントを対象とした遺伝カウンセリング前後でのPOMS短縮版およびアンケート調査が実施できなかった。また、山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場勤務の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライアントへの紹介・情報提供時の対応についてのアンケート調査について現在準備中であり、今後実施予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.研究協力が得られたクライアントに対し、初来談時、POMS短縮版および来談のための準備状況、遺伝カウンセリングで提供された情報・説明の理解、遺伝カウンセリングの満足度等についてのアンケート調査を行う。2.鳥取大学医学部附属病院で行っている「遺伝医療に関する勉強会」において、遺伝カウンセリングの重要性および必要性を説明し、遺伝カウンセリングが必要な、あるいは希望されるクライアントを紹介していただく。3.現在準備中である山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場勤務の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライアントへの遺伝カウンセリング紹介・情報提供時の対応についてアンケート調査を実施し、結果を分析する。4.発症前診断も考えられるクライアントに対する、心理的な変化を考慮した初来談時の遺伝カウンセリングモデルを作成する。5.作成した遺伝カウンセリングモデルを用いて、研究協力が得られた初来談のクライアントを対象にPOMS短縮版で気分・感情の変化を明らかにし、影響を与えた要因を聞き取り、検討する。6.発症前診断を実施したクライエントを対象に、診断告知後1ヵ月で、半構造化面接を行い、遺伝カウンセリングが与える影響を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場勤務の保健師を対象としたアンケート調査を平成23年度に実施する予定であった。しかしながら、各職種それぞれに対するアンケート調査準備が遅れているためアンケート調査が未実施となり、次年度使用額が生じた。それをふまえて以下の研究を実施する。1.継続して、初来談時のクライアントへのPOMS短縮版およびアンケート調査を実施する。2.山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場勤務の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライアントへの遺伝カウンセリング紹介・情報提供時の対応についてアンケート調査を実施し、結果を分析する。3.発症前診断も考えられるクライアントに対する、心理的な変化を考慮した初来談時の遺伝カウンセリングモデルを作成する。
|
Research Products
(2 results)