2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性腫瘍発症前診断に対するチーム医療による効果的な遺伝カウンセリング体制の構築
Project/Area Number |
23593233
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笠城 典子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60185741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康江 鳥取大学, 医学部, 教授 (10346348)
難波 栄二 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 教授 (40237631)
菊池 義人 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50389558)
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 遺伝性腫瘍 / 発症前診断 / 気分プロフィール検査 / 認識調査 / チーム医療 |
Research Abstract |
本研究は、一般医療者の認識を把握したうえで遺伝学的検査実施以前のクライエントの心の動きに着目して遺伝カウンセリングが与える影響を明らかにし、遺伝性腫瘍を中心にチーム医療による発症前診断に対応する遺伝カウンセリングシステムを構築することを目的としている。本年度は、鳥取大学医学部付属病院遺伝子診療科を初めて来談し、研究協力がえられたクライアントに8人に対し、遺伝カウンセリング前後でのPOMS(Profile of Mood States)短縮版を実施し、気分・感情の変化をみた。さらに、来談のきっかけ、相談者の有無など、来談時の準備状況等のアンケート調査を実施した。通常の遺伝カウンセリング実施後、来談前に知っておきたかったこと、提供された情報・説明についての理解、相談についての満足、遺伝カウンセリングの時間・費用について、などについてアンケート調査を行った。遺伝カウンセリングを受けたことについては、不安の軽減になり、満足に思っているクライエントが多かったが、情報・説明についての理解には個人差があった。明確な目的がないクライエントもあり、事前に、医師以外の職種も同席することを含め、遺伝カウンセリングに関する事前情報提供が不十分であることが考えられた。協力が得られたクライエントの背景、相談内容も様々であり、発症前診断を目的に来談するとは限らず、情報提供及び相談することで、発症前診断に関する遺伝カウンセリングにつながることも考えられる。また、地方において遺伝カウンセリングを受ける人は多くない。したがって、種々の目的で来談したクライエントについて調査を実施し、症例を重ねていくことが、遺伝に対する日本の文化および認識を考慮した発症前診断に対する遺伝カウンセリングシステムを構築する上では重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.明確な遺伝性疾患の発症前診断を目的としたクライエントの来談は少なく、診断についての情報提供のみであった。発症診断を希望し、適応となるクライエントはいなかった。 2.遺伝医療における看護職の役割について2000年以降の医中誌で検索した原著論文による文献検討を行った。 3.山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライエントへの紹介・情報提供時の対応についてのアンケート調査について現在準備中であり、今後実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究協力が得られたクライエントに対し、初来談時のPOMS短縮版および来談のための準備状況、遺伝カウンセリングでの説明・情報についての理解、満足度等についてのアンケート調査を継続して行う。鳥取大学医学部付属病院で行っている「遺伝医療に関する勉強会」を院外にも広報し、遺伝医療についての情報発信を通じ、遺伝カウンセリングの重要性および必要性を説明し、遺伝カウンセリングが必要なクライエントを紹介していただく。 2.現在準備中である山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライエントへの紹介・情報提供時の対応についてのアンケート調査を実施し、結果を分析する。 3.発症前診断を考慮に入れているクライエント対する心理的な変化を考慮した初来談時の遺伝カウンセリングモデルを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、初来談したクライエントから研究協力が得られない場合が多く、遺伝性疾患の発症前診断を目的としたクライエントの来談も少なかったため、データを充分に集めることができなった。また、山陰地域における病院リストは作成しているが、病院勤務の医療者および市町村の保健師を対象としたアンケート調査に関して実施できておらず、次年度使用額が発生しているという状況がある。したがって、次年度は以下について実施する。 1.初来談したクライエントへのPOMS短縮版およびアンケート調査を継続する。 2.山陰地域における病院勤務の医師・看護師・助産師および市町村役場の保健師を対象とした遺伝カウンセリングに対する認識およびクライエントへの紹介・情報提供時の対応についてのアンケート調査を実施、結果をまとめる。 3.遺伝カウンセリングモデルを作成する。 4.研究を総括する。
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