2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病ステージ1~4における患者教育システムの開発とソフトウェア化
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23593241
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
高橋 さつき 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (50412987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 美智代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10312729)
上星 浩子 桐生大学, 医療保健学部, 講師 (20389745)
佐藤 正樹 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 助手 (30570163)
清水 美和子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助手 (80593714)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / ステージ変容理論 / 患者教育 / 服薬指導 / 行動変容 / 患者アドヒアランス / アルゴリズム / EASEプログラム |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性腎臓病(以下、CKD)ステージ1~4における生活習慣の改善と服薬継続を支援する患者教育システムを開発することである。そのうち、平成23年度研究実施計画は以下の(1)~(3)であり、次のような成果を得た。 「(1)禁煙、食事療法、運動継続に影響を及ぼす要因の解明」のために、文献検討・勉強会を行った。開発する本システムは外来看護師が使用するものであり、効率性・実用性が求められる。各生活習慣改善に影響を及ぼす各々の要因を反映させた場合、煩雑・複雑なシステムになることが予測され、生活習慣改善に影響を及ぼす包括的な要因を探索した方がよい、という結論に至った。そこで、Prochaskaらのステージ変容理論をベースにシステム構築を行うことにした。これを受け、平成24年度研究実施計画「(4)患者教育の必要度を層別化するスクリーニングツールの開発」にも取り組み、「生活習慣に関する問診票(仮)」の開発と、その後に続く介入アルゴリズムの構築にも着手した。 「(2)服薬の実態と服薬継続に影響を及ぼす要因の解明」のために、文献検討・勉強会を行った。その成果として、先行研究よりCKD患者の服薬の実態、服薬継続に影響を及ぼす要因が明らかにされていることが解った。この研究成果は、「慢性腎臓病患者の服薬アドヒアランス向上に向けた外来での介入に関する文献研究(仮)」として、平成24年度に学会発表等で報告する予定である。 「(3)CKDステージ1~4の患者に必要な教育内容、それに適した教育方法などの抽出」のために、文献検討・勉強会を行った。その成果として、教育内容は「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009」に基づき抽出し、教育方法はアンドラゴジー、認知行動療法、コーチングなどを活用することを共通理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発する患者教育ステムに求められる機能について検討した結果、各生活習慣改善に影響を及ぼす各々の要因を反映させるのではなく、生活習慣改善に影響を及ぼす包括的な要因を探索した方がよい、という結論に至った。それによって、平成23年度研究実施計画「(1)禁煙、食事療法、運動継続に影響を及ぼす要因の解明」が予定より早く進み、平成24年度研究実施計画「(4)患者教育の必要度を層別化するスクリーニングツールの開発」を前倒しで着手した。よって、平成23年度研究実施計画(1)に関連する部分は、当初の計画以上に進展している。 また、平成23年度研究実施計画「(2)服薬の実態と服薬継続に影響を及ぼす要因の解明」は、平成23年度のゴールとしていた成果を抽出することができた。現在は、その研究成果のまとめ作業を行っており、研究計画はおおむね順調に進展している。 一方、平成23年度研究実施計画「(3)CKDステージ1~4の患者に必要な教育内容、それに適した教育方法などの抽出」は、教育内容の項目出しと活用する教育方法の列挙に留まり、平成24年度研究実施計画(6)で活用するには具体性が乏しい。よって、平成24年度も引き続き取り組む必要があり、研究計画の達成度はやや遅れている。 以上のことを総合し、交付申請書に記載した「研究の目的」における平成23年度の達成度は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度研究実施計画(4)~(6)のうち、既に「(4)患者教育の必要度を層別化するスクリーニングツールの開発」は「生活習慣に関する問診票(仮)」を作成したことで、ほぼ終了している。今後はこの問診票の効率性・実用性を検討しながら、洗練していく。 「(6)2種類の集団プログラム(ステージ1~2用、ステージ3~4用)の開発」は、システム構築の方向性をProchaskaらのステージ変容理論に基づくことに変更したため、「(6)各生活習慣別・Prochaskaらのステージ変容理論の各期に応じた個別教育プログラムの開発」に変更する。各生活習慣別の介入アルゴリズムは平成23年度に概ね完成しており、今後は一般目標・教育目標の洗練、具体的な指導案・教材作成を、平成23年度研究実施計画「(3)CKDステージ1~4の患者に必要な教育内容、それに適した教育方法などの抽出」に基づき、分担して構築していく。服薬継続支援の介入アルゴリズムも平成23年度に概ね完成しており、その具体的な指導案・教材作成も、平成23年度研究実施計画(3)に基づき構築していく。 EASEプログラムは、各生活習慣の介入アルゴリズム実行期で用いる。それに向けての「(5)EASEプログラムにおける個別介入方法の修正」は、EASEプログラムStep5をテレナーシングで活用しやすい具体的なものにすることを目ざし、研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度直接経費20万円のうち、15万円は「慢性腎臓病患者の服薬アドヒアランス向上に向けた外来での介入に関する文献研究(仮)」の学会発表にかかる各自の国内旅費として使用する計画である。現在、発表する学会は未定だが、学会・開催地によっては旅費の一部負担に留まることや、会員申込が必要な場合はその費用にあてることもある。 残りの5万円は、主に平成24年度研究実施計画「(5)EASEプログラムにおける個別介入方法の修正」、変更した「(6)各生活習慣別・Prochaskaらのステージ変容理論の各期に応じた個別教育プログラムの開発」のために、その他(文献収集代、書籍購入代など)の研究費用として使用する計画である。また、平成23年度予算執行残高端数のために生じた次年度使用額4,895円は、平成24年度のその他の研究費用に含め、研究代表者が使用する。
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