2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病ステージ1~4における患者教育システムの開発とソフトウェア化
Project/Area Number |
23593241
|
Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
高橋 さつき 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (50412987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 美智代 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10312729)
上星 浩子 群馬パース大学, 保健科学部, 准教授 (20389745)
佐藤 正樹 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 助教 (30570163)
清水 美和子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助手 (80593714)
|
Keywords | 慢性腎臓病 / 患者教育 / コンピュータ支援学習 / インストラクショナルデザイン / 行動変容 / セルフマネジメント / EASEプログラム / 患者アドヒアランス |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性腎臓病(以下、CKD)ステージ1~4における生活習慣の改善と服薬継続を支援する、患者教育システムを開発することである。平成24年度は、前年度に行った文献検討・勉強会の成果に基づき、Prochaskaらのステージ変容理論をベースとするシステム開発に取りかかった。しかし、次の理由から視点を変え、教育工学の一領域であるインストラクショナルデザイン(以下、ID)に基づき、再構築することとした。 その理由とは、次の3点であった。①開発したアルゴリズム案は、ある程度のトレーニングを受けた看護師でないと、介入効果が得られにくい。②①に続いて開発した患者教育案は、実施する時間とスタッフの確保が必要であり、指導環境の整備が求められる。③Prochaskaらのステージ変容理論を用いることは、CKD領域では新奇性があるが、他領域では既に取り組んでいる。 我々はその後、IDに関する勉強会を行い、IDに基づく患者教育システムを再構築した。このシステムは“患者の独学を支援する教材”によるeラーニングで、CKDの進展防止に必要な生活習慣を継続実施する方法やコツを理解することをゴールとしている。患者の独学を支援する教材「慢性腎臓病(CKD)eラーニング講座(仮)」は、食事、飲酒、運動などの11のインストラクションと、EASE(Encourage Autonomous Self-Enrichment)プログラムのセルフヘルプバージョンのインストラクションで構成されている。我々はこれらインストラクションに必要な教材案を作成し、会議にてその内容の確認・検討・修正等を行っている。 また、前年度に取り組んだ、CKD患者の服薬の実態と服薬継続に影響を及ぼす要因を明らかにした文献検討の成果をまとめ、第15回日本腎不全看護学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本システムのベース理論の変更後に計画したゴールは、次の2点であった。①インストラクショナルデザイン(以下、ID)に基づくシステムを構築し、前年度に抽出した「慢性腎臓病ステージ1~4の患者に必要な学習内容」に対する“患者の独学を支援する教材”を開発する。②EASE(Encourage Autonomous Self-Enrichment)プログラムのセルフヘルプバージョンに対する“患者の独学を支援する教材”を開発する。 ①に取りかかる前に、IDに関する書籍・資料等の精読や勉強会を行い、理解を深めた。そして、前年度に抽出した学習内容に基づき、11のインストラクション(初回教育の「腎臓を守ろう!」、『「食事に気をつける」って、どうやるの?』、「その飲酒量、適量内ですか?」、「さあ、禁煙しましょう!」、「“適度な”活動量や運動量って、どの位?」、「薬は“正しく”飲んでいますか?」、「外来受診は続けましょう―検査データ―」、「血圧測定のすすめ」、「フットケアのすすめ」、「透析・腎移植について考える」)の教材案を分担して作成した。 また②は、①の学習によって生活習慣を改善する必要性に気づいたことを前提条件とし、生活習慣改善に向けた行動を継続実施するコツがわかることをゴールとした。これらの条件を満たすようにEASEプログラムのセルフヘルプバージョンを作成し、そのインストラクションの教材案を作成した。 作成した教材案は現在、会議を重ねながら各インストラクションのつながりや内容の確認・修正、各インストラクションの前提条件・行動目標・事後テストの整合性の確認・修正、ケラーのARCSモデルに基づく修正等が行われている。よって、上記①、②の開発は八割方済んでおり、平成25年度は予定通りにソフトウェア化が実施できると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に計画している研究内容は、平成24年度に開発した「慢性腎臓病(CKD)eラーニング講座(仮)」のソフトウェア化を行うことである。それに向け、現在行っている修正作業が完了したら、腎臓内科医に監修を依頼する予定である。監修終了後は業者に原稿のブラッシュアップとソフトウェア化を依頼・発注し、来年2月前後の完成をめざしている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に残金が生じた理由は、本収支簿の集計期日が業者への支払い期日より早かったためであり、既に残金はない。 平成25年度の直接経費310万円のうち、280万円はソフトウェアのブラッシュアップとソフトウェア化に使用する予定である。残りの30万円は、The 3ed Asian Nephrology Nursing Symposium への参加・発表にかかる旅費・宿泊費等の一部に充てる予定である。
|