2011 Fiscal Year Research-status Report
中咽頭がん患者の化学放射線療法による味覚とQOLに関する多施設共同前向き臨床試験
Project/Area Number |
23593249
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松澤 洋子 大阪市立大学, 看護学研究科, 講師 (00333980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 眞 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00193855)
矢田 真美子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10239783)
丹生 健一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20251283)
斎藤 幹 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30335442)
山根 英雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145787)
井口 広義 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70271195)
佐竹 久美子 神戸大学, 医学部附属病院, 管理栄養士 (90540138)
福田 敦子 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (80294239)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中咽頭癌 / 化学療法併用放射線治療 / 味覚 / 栄養 / PEG / 唾液 / QOL / 献立 |
Research Abstract |
中咽頭癌に対する化学療法併用放射線治療(CRT)による低栄養の予防を目指すことを目的に、今年度は文献研究と対象施設での実態調査を実施した。1.文献研究国内外の頭頸部癌患者のCRTに関する文献検索を実施し、報告されている有害事象の出現・消失時期を調べ、本研究の調査時期の妥当性を確認した。2.対象施設での実態調査中咽頭癌と診断され初回治療でCRTを受ける患者17名を対象としたが、1事例あたりの調査期間が数ヶ月に渡るため、研究協力の途中脱落や癌転移、死亡もあった。CRTの進行に合わせて有害事象・栄養摂取・QOLに関連する調査、味覚検査、食事に関するインタビューを実施した。CRTは副作用を伴う頻度が高く、全対象者に有害事象の出現を認め、放射線照射線量20Gyで味覚低下、唾液分泌量低下、体重低下が現れた。唾液分泌量調査のガムテストは、放射線照射線量40Gyから治療終了までの期間は、口内痛と開口障害によって実施できないケースもあった。栄養摂取量は施設によってPEGの造設が統一されておらず、条件に合わせて分析中である。インタビューでは、治療のためには、楽しく食べること、美味しく食べることは諦めているとの声が多く聞かれ、食生活への積極的介入の必要性が示唆された。今後は現在実施中の実態調査を継続すると共に、各データとQOLとの関連を具体的に分析し、成果を発表する。また退院後の食事(栄養摂取)状況も調査し、本研究の最終的な目的である、栄養(体重)低下、QOL低下を起こさずに治療を継続できるような支援と、副作用があっても食生活に満足感を得られる補食と献立を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象である3施設での中咽頭癌患者数が計画当初の想定数を下回ったこと、調査期間が11ヶ月に渡る(調査時期:(1)治療開始前 、(2)放射線照射量20Gy、(3)40Gy、(4)治療終了時 、(5)治療終了から1ヶ月後、 (6)3ヶ月後 、(7)6ヶ月後、(8)9ヶ月後)ため、対象者の途中脱落や死亡があったことによりデータ収集が計画通りに進まず、具体的な分析結果を示すところまで至らなかった。次年度は対象施設を1施設増やす予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、中咽頭癌でCRTを受ける患者を対象に、治療の進行に合わせた経時的変化を調査する。調査時期はCRT開始前からCRT終了9ヶ月後迄の期間であり、調査内容は有害事象、栄養摂取状態、口腔内湿潤度、唾液量、PEG、味覚機能、QOLと半構成的面接による食事への意識である。検査・調査の結果から、データの経時的な推移、調査項目間の関連、PEG使用頻度からPEGの有用性を分析して成果を発表する。また今後は、CRTを終えて自宅療養に移行する対象者が増える時期であり、退院後の食事(栄養摂取)状況も調査する。対象施設での中咽頭癌患者数が計画当初の想定を下回っていることに対しては、対象施設を1つ増やすことで解決を図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費を次年度に5,310円繰り越す理由は、対象者が計画時の予定数を下回ったことによる交通費の余りであり、次年度追加する対象施設への交通費として使用する予定である。[次年度の研究費使用計画]直接経費(605,130円)の使用計画として、消耗品費(濾紙ディスク式味覚定性定量検査試薬、口腔内湿潤度検査用濾紙、刺激唾液分泌量測定用ガム、使い捨てカメラ、栄養価計算ソフト、CD-R等):400,000円、旅費(調査、研究成果発表):175,130円、謝金(研究補助、対象者謝礼):30,000円を予定している。
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