2012 Fiscal Year Research-status Report
中咽頭がん患者の化学放射線療法による味覚とQOLに関する多施設共同前向き臨床試験
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23593249
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松澤 洋子 大阪市立大学, 看護学研究科, 講師 (00333980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 眞 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00193855)
矢田 真美子 関東学院大学, 設置準備室, 教授 (10239783)
丹生 健一 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20251283)
斎藤 幹 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30335442)
山根 英雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60145787)
井口 広義 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70271195)
脇田 久美子 神戸大学, 医学部附属病院, 管理栄養士 (90540138)
福田 敦子 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (80294239)
片山 恵 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (60295772)
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Keywords | 中咽頭癌 / 化学療法併用放射線療法 / 味覚障害 / 栄養状態 / QOL / 経皮内視鏡的胃瘻増設術 / 献立 / 有害事象 |
Research Abstract |
目的:中咽頭癌の治療として化学療法併用放射線治療(以下、CRT)が行われるようになり、治療成績が良好であることが示されてきている。しかしCRTに伴う有害事象は低栄養、感染、疼痛を来たすため、積極的な栄養介入が必要とされる。そこで本研究は CRTによる低栄養の予防を目指すことを目的に取り組んでいる。研究実施計画: 中咽頭癌でCRTを受ける患者を対象に、治療開始前から終了後9ヶ月までprospectiveに有害事象、栄養状態、QOLの経時的変化の実態を調査する。併せてPEG(経皮内視鏡的胃瘻)の有用性も検討し、最終的に患者が栄養(体重)低下とQOL低下を起こさずに治療を受けられる支援と、味覚障害のある人が経口摂取しやすい補食と献立を考案する。本年度は3施設での23名の実態調査を実施したが、1事例あたりの調査期間が数ヶ月に渡るため、研究協力者の途中脱落や癌の再発・転移や死亡もあった。治療開始前から治療終了まで調査が遂行でき、レジメン(治療計画)に大差がなかった対象者を分析した結果、全対象者に有害事象の出現を認め、特に放射線照射線量20Gyから味覚低下、味覚異常、唾液分泌量低下、体重低下が著明であった。味覚は鼓索神経支配領域で甘味、塩味、酸味、苦味の4味質が低下し、味の変異や無味を示した。味覚異常は治療終了から数ヶ月を経ても改善せず、甘味の回復が1番最後であった。また本調査の対象とは別の43名を対象にPEGの有用性をretrospectiveに検討した結果、治療中の総エネルギー摂取量は、非PEG群は有意に減少していたことからPEGの有用性が明らかになった。これらの結果から治療に伴う具体的な問題点が明らかになり、対策として早期からの栄養投与の必要がある。結果は雑誌投稿と学会発表で公表した。今後は治療後のQOLの担保と食生活に満足感を得られる補食と献立も検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者の調査期間が11ヶ月に渡る(調査時期:①治療開始前 、②放射線照射量20Gy、③40Gy、④治療終了時 、⑤治療終了から1ヶ月後、 ⑥3ヶ月後 、⑦6ヶ月後、⑧9ヶ月後)ため、対象者の途中脱落や死亡があった。そこで対策として調査対象施設を1施設増やしてデータ数の確保に努めた結果、具体的な分析結果を明らかにすることができた。また、本研究と平行して別の対象をretrospectiveに検討し、PEGの有用性を示すこともできた(結果は学会発表と雑誌投稿で公表した)。 次年度は最終目的である栄養(体重)低下、QOL低下を起こさずに治療を継続できる支援と、味覚障害があっても食生活に満足感を得られる補食と献立を考案することに着手する準備も整い、概ね計画どおりに実施出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年から実施している中咽頭癌でCRTを受ける患者の治療の進行に合わせた経時的変化の実態調査は継続する。併せて有害事象、栄養摂取状況、口腔内湿潤度、唾液量、PEG、味覚機能、QOLの各蓄積データ間の関連を分析し、成果を発表する。また、これまでにCRTを終えて自宅療養に移行した対象者のPEGの管理と栄養の経口摂取に関する困難が明らかになったことをふまえて、治療後のQOLの担保と味覚障害、唾液分泌量の減少があっても食生活に満足感を得られる補食と献立を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費を次年度に5,430円繰り越す理由は、研究分担者の追加による交通費の余りであり、次年度の調査および打合せ時の交通費として使用する予定である。 [次年度の研究費使用計画] 直接経費(505,430円)の使用計画として、消耗品費(濾紙ディスク式味覚定性定量検査試薬、口腔内湿潤度検査用濾紙、刺激唾液分泌量測定用ガム、使い捨てカメラ、栄養価計算ソフト、CD-R等):200,000円、国内・国外旅費(調査、研究成果発表):25,5430円、謝金(研究補助、対象者謝礼):50,000円を予定している。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] 中咽頭癌に対する同時併用化学放射線療法における経皮内視鏡的胃瘻造設術の有用性についての検討2012
Author(s)
高橋美貴,竹本菜保子,佐野彩香,木内亮平,松澤洋子,佐竹久美子,濱田康弘,谷本均,大月直樹,齋藤幹,丹生健一,宇佐美眞
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Journal Title
頭頸部癌
Volume: 38(3)
Pages: 336-342
Peer Reviewed
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