2013 Fiscal Year Research-status Report
高血圧患者の塩分摂取測定を活用したセルフモニタリングの効果
Project/Area Number |
23593250
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
籏持 知恵子 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70279917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 由美子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (00190455)
中村 美知子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80227941)
角野 雅春 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (50611456)
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Keywords | セルフモニタリング / 塩分計 / 高血圧患者 |
Research Abstract |
本研究は通院中の高血圧患者の減塩に向けた支援として、塩分計とセルフモニタリング手帳を使用することの効果を明らかにする研究である。 今年度は調査を実施し、その成果を分析する予定であった。現在まで、予定の対象者数の約半数である介入群(Self-Monitoring Group:SMG)16名、対照群(Contorol Group:CG)15名のデータ収集を行い、男性患者のみSMG8名、CG8名のデータの分析を行った。 ベースライン時の状況は有意差がなく、介入期間である3か月間の血圧、BMI、血清脂質などの身体状況、塩分やコレステロール摂取などの栄養摂取量、健康行動、心理的準備状態などの変化に関しては統計的な有意差は見られなかった。しかし個別の変化において、SMGでは摂取塩分が1g以上低下した者は4名と半数であったが、CGでは2名であった。コレステロールの摂取量の変化ではSMGでは8名中7名が適正値範囲内に維持、減少しており、CGでは悪化して者は2名で、8名中4名が適正値を上回っていた。また健康行動の得点はSMGは改善している者の割合が高い傾向にあった。群内比較においてはSMGの収縮期血圧のみが1か月後に有意に低下した(p=0.018)。また SMGにおいて、1g以上の減塩ができた対象者は減塩計の使用により、汁ものの塩分量の多さを実感できた者、様々な食品に含まれる塩分摂取に注意が向けられようになった者、塩分計の使用が家族と減塩に取り組むきっかけとなった者などであった。 塩分計を用いた食生活のモニタリングは減塩を効果的に実施し、栄養摂取や血圧の改善に成果をもたらす可能性が期待できる。今後は対象数を増やし、統計的な効果を再度、確認するとともに、改善事例や、改善しなかった事例をもとに介入対象の絞り込みや介入方法の検討をしていく必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在までのデータ収集数は予定の半数程度にとどまっている。その主な理由は、データ収集施設における外来担当医退職に伴う外来規模の縮小、研究協力者の部署の変更等により、一時的なデータ収集の中止やデータ収集数の減少を余儀なくされたことなどである。またデータ収集方法である食事の写真撮影は特に日中においては職場での撮影となり難しい等の理由から、研究参加者のリクルートが十分行えなかったことも要因として考えられる。 今後はデータ収集施設を増やす予定であり、日中の食事の写真撮影等に関しても研究参加者を得やすい方法を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに関東地区での病院施設をデータ収集施設として加え、データ収集を実施する計画である。すでに新たなデータ収集施設における倫理委員会の承認を得、担当医師、研究協力者とも打ち合わせ済みであり、データ取集開始の準備が整っている。 食事の写真撮影の方法については、携帯電話のカメラ等で写すことができるようにするなど、対象者の研究協力を得やすい方法を提示して参加協力を得る予定である。 また現在まで収集したデータの分析も男性患者を中心にすすめているところであるが、すべてのデータ分析を速やかに進め、論文作成の準備を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度のデータ収集は調査施設における外来担当医退職に伴う外来規模の縮小、研究協力者の部署の変更等により、一時的なデータ収集の中断やデータ収集の回数の減少を余儀なくされる事態となった。そのため、引き続き予定の対象者数の確保のため、データ収集を継続する必要が生じ、それに伴う交通費、血液結果等検体分析費用、食事の栄養分析等の費用が必要となった。 次年度は予定の対象者数のデータ収集を継続し、結果を分析、公表するための費用が必要である。具体的には、前述したデータ収集に伴う交通費、血液結果等検体分析費用、食事の栄養分析等の費用の他、患者連絡用の携帯電話の使用に伴う費用、データ分析結果等を研究者-研究協力者間で郵送するための通信費用、最終結果の学会発表や学術誌投稿、関連機関への報告などの成果公表への使用を予定している。
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Research Products
(4 results)