2011 Fiscal Year Research-status Report
手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-シヨン看護モデルの開発
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23593273
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
白田 久美子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (90310739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 秀子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (90512343)
前田 勇子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (20321135)
辻下 守弘 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80280197)
西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (60515691)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | quality of life / 介入研究 / 消化器系がん / リハビリテ-ション看護モデル / フィジカルリハビリテーション |
Research Abstract |
今年度は、手術後がん患者のQuality of life 向上に向けて「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を作成するがその事前調査として、手術後の筋力低下の状態や生活活動状況を把握することにあった。調査対象者は手術を受け退院し外来で通院している消化器系がん患者であるが、そのなかでも身体侵襲が大きく、高齢者も多くて手術後の活動状況に問題があると考えられる開胸・開腹下食道がん根治術を受けた患者を中心に調査を進めている。現在手術前に測定できた患者は11名、そのなかで手術前と手術後1ケ月に測定できたのは3名で、後の8名は術後1ケ月を待っているところである。調査実施期間は、平成24年6月までとしていたので予定通りに進捗している。筋力測定はポータブルタイプのioi757、日常生活活動状況の測定は、ライフコーダGSを用いているがそれぞれ購入でき活用している。また面接調査や測定できる部屋も病院で確保できており、患者のプライバシーにも対応できている。今年度における研究成果は、手術前と手術後1ケ月に測定できた症例数が10例以上となった時点でまとめを行うのでまだ明らかな結果ではないが、今までに調査を終了した患者の状況をみると、手術後1ケ月では体重の減少や筋力の低下がみられている。6月までには調査を終了し、まとめて成果を示すことができる。また手術後1ケ月の患者では「食事がうまく通らない」「食欲がない」「食事の時間になると苦痛である」など患者のさまざまな訴えがみられている。このような内容は今後「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を作成するうえで重要な基礎データとなる。今回は消化器系がん患者のなかでも開胸・開腹下食道がん根治術を受けた患者を焦点にあてたが、この研究成果は他の消化器系がん患者にも適応できることから意義のある研究と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的は、手術後の筋力低下の状態や生活活動状況の実態を把握し、その調査結果を基に理学療法士達との話し合いを十分に行い、フィジカルリハビリテ-ションの指導内容を作成することにあった。そして、今まで行ってきた日常生活における様々な症状に対する対応や栄養と食生活に関する内容にフィジカルリハビリテ-ションの指導内容を加え、外来に通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデルを開発するのである。しかし現在もまだ手術後の筋力低下の状態や生活活動状況の実態を把握している状況である。このような結果になったのは、調査先の病院の倫理委員会での申請結果が遅れたこと、また調査の依頼をしていた医療機関での患者数が少なかったので、調査先の医療機関を変更したことなどにより調査が遅れたことにある。外来で手術前患者をどのようにして確保するか、またその患者の手術後1ケ月をどのようにして把握するのかがとても困難であった。他の病院に変え、連携の見直しを行ってから、医師や看護師に協力が得られ、毎週外来で調査できており順調に調査ができるようになった。しかし今年度の研究目的の達成は、調査結果を基に外来に通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデルを開発することにあるがまだできていないことが反省点である。しかし6月までには調査は終了する予定であり、現在も同時進行で、理学療法士達との話し合いを行い、フィジカルリハビリテ-ションの指導内容を作成しており、日常生活における様々な症状に対する対応や栄養と食生活に関する内容にフィジカルリハビリテ-ションの指導内容を加えて、外来に通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデルの作成することは可能であり、当初の研究目的への達成度までには十分できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後は、「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を作成し、それを用いて介入研究を行いその有効性を検討することにある。従来から行っている看護支援をコントロ-ル群、「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を介入群に用いて比較検討する。調査対象者は手術を受け退院し外来で通院している手術後1ヶ月程の消化器系がん患者30名、調査方法は介入前後に。筋力測定、ライフコ-ダGS、SF-8日本語版(QOL尺度)、日本語版Profile of Mood States Brief-Form(以下POMS)短縮版を用い状態を把握し検討する。次年度に使用する予定の研究費があるのは、「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」が今年度まだ作成している状況である。内容は(1)「日常生活におけるさまざまな症状に対する対応」、(2)「栄養と食生活に関すること」、(3)「リラクゼ-ション」に、(4)「フィジカルリハビリテ-ション」を追加し、パンフレットを作成するがまだできていないことから次年度使用額が生じた。その他にも研究スタ-トが遅れたことからライフコーダGSを10ケのみの購入しただけであることやライフライザ-0.5コ-チのソフト、POMS短縮版用紙、SF-8日本語版をまだ購入していないことからこのような結果となった。しかし必要なものであり次年度に早急に購入するので必要な経費である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.研究設備備品・消耗品:1)消耗品:調査内容で筋力測定を行うが、対象者が手術前後や高齢者であることから簡単・安全に測定できる器具を探してポータブルタイプのioi757という体成分分析器を購入した。これは患者への負担を少なくし、体重、体脂肪率、筋肉量、さらに部位別(両腕、両脚、胴体部)の体脂肪量と筋肉量が測定できるものである。今年度この器具を購入した為、その他の消耗品の費用、研究補助費用をひかえてきた。それが「次年度使用額」となった。「次年度使用額」の分は、パンフレットなどの印刷費や日常生活活動状況の測定できるライフコーダGSを追加購入するためのものである。ライフコーダGSは日常生活活動状況(強度、時間、頻度)を連続して記録でき、USBでパソコンと簡単に接続できる。そして1日の生活(身体活動)パタ-ンや、消費カロリ-の日別推移グラフなど多彩な報告書が作成できる。測定する対象各個人に必要であり、調査対象者30名分が必要である。今年度は10名のみ購入したが後20名分を購入するのでその費用に「次年度使用額」と今年度の研究費を使用したい。また次年度研究費ではライフライザ-0.5コ-チのソフトを購入したい。これは歩数と活動時間から得られた判定アドバイスを表示でき、印刷できるソフトであることからデータとしての身体活動を向上させるための使用できる。さらに介入前後に測定するPOMS短縮版用紙、SF-8日本語版の購入が必要である。2.旅費など:1)成果の発表:研究成果を関連する看護学会に発表していくことから必要となる。また調査する病院までの交通費も旅費として請求したい。2)研究補助:手術後のがん患者を対象とすることから、対象者への配慮として密な連絡、待ち時間の負担軽減、調査票に関する確実なデ-タが得られること、そして正確なデータの入力が必要なことから研究補助が必要である。
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