2012 Fiscal Year Research-status Report
手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-シヨン看護モデルの開発
Project/Area Number |
23593273
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
白田 久美子 甲南女子大学, 看護リハビリテ-ション学部, 教授 (90310739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 秀子 甲南女子大学, 看護リハビリテ-ション学部, 講師 (90512343)
前田 勇子 甲南女子大学, 看護リハビリテ-ション学部, 准教授 (20321135)
辻下 守弘 甲南女子大学, 看護リハビリテ-ション学部, 教授 (80280197)
西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテ-ション学部, 准教授 (60515691)
大杉 治司 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30168926)
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Keywords | quality of life / 消化器系がん患者 / フィジカルリハビリテーション / リハビリテ-ション看護 / 介入研究 |
Research Abstract |
今年度は事前調査として手術後の筋力低下の状態や生活活動状況を把握し、その結果を基に手術後がん患者のQuality of life の向上に向けて「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を作成することであった。事前調査では消化器系がん患者のなかでも身体侵襲が大きく、高齢者も多く、手術後の活動状況に問題があると推測される開胸・開腹下食道がん根治術を受けた患者に焦点をあて、手術前と手術後1ケ月、3ケ月に筋力測定の基となる筋肉量はポータブルタイプのioi757、日常生活活動状況の測定は、ライフコーダGSを用い縦断的に測定した。手術前と手術後1ケ月のデータが取れたのは13名で、11名は体重減少(平均2.75kg)、2名は体重増加(平均2kg)がみられた。13名の中で3ケ月までデータが取れたのは6名で術後3ケ月では、全員体重減少(平均4.2kg)していた。手術後1ケ月で筋肉量の低下していたのは5名(平均1.6kg)、増加していたのが7名(平均1.3kg)であった。手術後1ケ月では体重の減少はあるが筋肉量はむしろ増加しており、体脂肪量の減少がまずみられ、筋肉量までの減少はみられていないことが分かった。日常生活活動状況は、歩数がほとんど測定できない状況であった。つまり退院後通院しているが手術後1ケ月程の時期では、食事の問題や手術後のさまざまな症状に対する訴えがみられ、生活活動状況は十分な状況ではないことがうかがえた。一般的に手術後の生理機能は、減退していく時期である。早期離床・早期退院支援が浸透してきたが、短期間とはいえ手術を受け臥床する期間があれば身体機能は低下する。通院している時期に退院後の自宅療法に向けての支援が必要であることが立証できた。本研究の意図である基礎デ-タからみて外来で通院している患者への支援が重要であることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の本研究課題は、「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を用いて介入研究を行いその有効性を検討することにある。従来から行っている看護支援をコントロ-ル群、「手術を受け通院中の消化器系がん患者のリハビリテ-ション看護モデル」を介入群に用いて比較検討する。今まで調査してきた結果、手術後1ケ月では体重の減少はあるが筋肉量はむしろ増加しており、体脂肪量の減少がまずみられ、筋肉量までの減少はみられていないこと、日常生活活動状況はほとんどなく、食事の問題や、手術後のさまざまな症状に対する訴えがみられ、そのような問題が優先しており生活活動状況の段階ではないことがうかがえた。そこで理学療法士達との話し合いを行ない、対象者が主に高齢であり、これ以上の筋力低下を防ぐことを念頭に置き、転倒予防の基本動作や体力快復の為の内容を今までの指導内容に加え作成した。今年度は今までの研究結果をまとめ発表すること、さらに作成した指導内容を冊子にし教材として用いること、また指導前後に測定するPOMS短縮版用紙、SF-8日本語版を購入すること、そして研究の総まとめとして冊子を作成することなどを実施する予定である。当初から研究対象者が得られず研究のスタ-トが遅れたことが現在も影響している。しかし指導内容の有効性を検討するために、施設の担当者と調査対象者の選定を現在行っているところであり、当初の研究目的への達成度までには十分できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢のがん看護は増加している。がん治療の急速な進歩により治療方法も変化している。高齢で身体侵襲の大きい治療を受ける患者は少なくない。一般的に手術後の生理機能は、減退していくので積極的に早期離床・早期退院支援は浸透してきている。それだけでなく退院後の自宅療法に向けての支援も外来通院中からがん患者に対して必要であることを現段階でも立証できている。今回は開胸・開腹下食道がん根治術を受けた患者に焦点をあてたが、それ以外の消化器患者にも焦点をあて、さらに症例数を増やしていくことなどで研究を推進できたらと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.研究設備備品・消耗品:今年度は、開胸・開腹下食道がん根治術を受けた患者を中心として調査してきた。手術前と手術後で比較した調査を行ったので縦断的な研究となり時間がかかった割には対象者が少なかった。それが「次年度使用額」となって残った。「次年度使用額」は、食道がん患者以外の消化器がん患者にも焦点をあて、症例数を増やしていくことになるのでライフコ-ダ-GSの追加購入するためのものである。次年度は、研究の総まとめとして冊子を作成するので印刷費なども必要となる。2.旅費など:調査する病院までの交通費や成果発表を行うための旅費も請求したい。
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