2011 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者のエンパワーメント向上への医療者及び家族サポートの要因に関する研究
Project/Area Number |
23593277
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
原 頼子 久留米大学, 医学部, 准教授 (60289501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 康次 東邦大学, 医学部, 教授 (50138989)
ブルーヘルマンス ラウール 東京医科大学, 医学部, 准教授 (50424601)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 2型糖尿病患者 / エンパワーメント / 自己管理行動 / 家族サポート / 医療者サポート / 患者教育 |
Research Abstract |
医療従事者、家族、友人のサポートを認識している患者が、自らの糖尿病のコントロールへの意味を見出し、エンパワーメントされることで、自己管理行動の継続へ向けた行動変容が起こり、血糖コントロールが良好に保たれ、合併症の予防、良好なQOLの維持へとつながるという考え方が提唱されている。この研究の目的は、糖尿病患者のエンパワーメント向上に影響を与える要因について、サポートを行う看護師や家族に着目し、各種調査票を用いた研究を行うことによって、患者のエンパワーメント向上および支援システムの構築について研究することである。今年度は、エンパワーメント向上に寄与する要因を明確にするために、(1)医療従事者とくに、看護師のサポートを測定するための調査票と、(2)家族サポート調査表の作成および調査を実施した。(1)については、既存の調査票が見当たらないため、質問項目となる要因を知るために、糖尿病療養指導士の資格を持ち、外来で患者教育に関わっている看護師に面接を行った。これから、患者の自己管理行動の向上に向けてどのようにサポートをしているかについて語られた言葉の質的な分析を進め、質問項目を選定し、調査票を作成する予定である。また、(2)については、家族のサポートを測定するDiabetes Family Behavior Checklist(Schaferら、本人が家族のサポートを支持的、非支持的と認識しているか測定する、また本人と家族に測定し、認識の差を比較できる調査票)を、翻訳手順にそって日本語版の作成を行い、信頼性・妥当性を検討した。その結果、家族の支持的サポート、非支持的なサポートは、インスリン治療と内服薬治療という療養法や、HbA1c値に影響があることが示唆され、実用化に向けて検討中である。次年度はこの2つの調査票を使用した調査と患者のエンパワーメントを測定する調査票との関連性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、家族のサポートを測定する調査票Diabetes Family Behavior Checklist(Schafer et al.,)の日本語版の信頼性・妥当性の検証を行った。158名のインスリン治療患者と169名の内服治療患者をHbA1c値が6.5以上か未満の群に分けて行った調査結果の分析から、自己管理行動に影響する要因には療養法と血糖コントロールが影響しており、家族の支持的なサポートがあると認識している患者の血糖コントロール状況は良いことが示唆された。この結果をもとに糖尿病患者の自己管理行動に影響する家族サポートの要因について論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者のエンパワーメントには、自己管理能力の向上による糖尿病をコントロールしているという自己効力感が影響していると考えられる。そこで、今年度の結果より、糖尿病患者の自己管理行動には、家族の支持的なサポートが影響していることが明らかになったことは、これからの研究につながることである。しかし、長い経過で自己管理の継続が必要とされる糖尿病患者には、医療従事者や家族・友人が単独でアプローチしても効果的な自己管理行動にはつながらないと考えられる。今後は、医療従事者とくに、看護師のサポートを測定するための調査票の作成を進める必要がある。患者の自己管理行動の向上に向けてどのようにサポートをしているか、どこに留意しているについて看護師が語った言葉を質的に分析し、質問項目を選定し、調査票を作成し、信頼性・妥当性の検証が必要となる。その上で、患者のエンパワーメント測定を行い、エンパワーメントを高める家族からの要因、看護師からの要因との関係について検証を行う。その結果を総合的に分析し、患者を中心とした効果的なサポートや、教育システムを構築していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糖尿病患者の自己管理行動に影響する家族サポートの要因が明らかになり、その成果報告のための論文を作成中である。ジャーナルへの投稿を行うために、英語論文への翻訳のチエックを依頼するための費用が必要となる。また、研究成果を発表するために学会への投稿費や旅費等が必要となる。その上で次のステップとなる、家族のみならず、医療者側からのサポートを測定する調査票開発のための患者調査費や、その調査と平行して患者自身がエンパワーメントされているかを測定する調査票の翻訳手順を進めていくための費用も必要である。
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