2012 Fiscal Year Research-status Report
不妊症女性の冷えの特徴と、健康感及び妊孕性の向上をめざした教育プログラムの検討
Project/Area Number |
23593342
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
渡邊 知佳子 東邦大学, 看護学部, 講師 (20366503)
|
Keywords | 冷え / 不妊症 / 深部体温 / 末梢部体温 / 躯幹部体温 / 体温較差 / 女性 / 妊孕性 |
Research Abstract |
昨年度は平成23年12月よりデータ収集を開始し、平成24年3月末で126名のデータを集めた。今年度に入り、引き続き4月もデータ収集を行ったが、気温の上昇に伴い研究参加者が減少していったこと、またデータ収集する部屋の設定温度よりも外気温が高い日が続いたため、当初の計画を変更し、4月末日にてデータ収集を一旦休止することにした。4月末の時点で計148名のデータを収集した。このデータに関しては統計解析を行い、第53回日本母性衛生学会学術集会にて発表し、平成25年5月にも第27回日本助産学会学術集会で発表する予定である。また、ICN4年毎大会にも演題を提出したが、これは不採択であった。 夏の期間中は、冷えの予防や対策に関する文献、先行研究等を収集し、今後実施予定の冷えを改善するための教育プログラム内容を検討した。また、SPSSの統計講座に3回通い、データ分析方法について学びを深めた。 データ収集の再開は10月を予定していたが、猛暑が続き、気温が25℃以上の日も多かったため、10月は研究対象者募集のポスターやチラシを準備して関係各所に依頼をするにとどめ、11月よりデータ収集を再開した。その結果、3月末までに不妊治療群50名、出産経験群43名、計93名のデータを収集でき、前回収集したものと合わせて241名をPCへ入力した。 2月7日から9日まで韓国へ行き、出産経験のある女性3名、出産経験の無い女性2名に対して、どのような冷えの予防対策をしているのか、インタビューを行った。韓国では家を二重ガラスや床暖房にして、家全体を暖めていた。また、湯船に入る習慣はなく、普段はシャワーで身体を洗い、週に2回程度よもぎ蒸しの銭湯へ行き汗をかくようにしていることや、漢方薬局で漢方薬を処方してもらい冷えの改善をはかっていること、普段から漢方や香辛料を多く用いた料理を食べていること等に特徴があると分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究計画では当初5月までデータ収集を行う予定だったが、気温の上昇に伴い、4月末でデータ収集を休止しなければならなかった。またデータ収集の再開も気温が高かったために、1ヵ月遅れの11月からと変更した。以上のように猛暑の影響を受け、データ収集期間が短くなった。また、今年度は11月から12月に母性看護学実習の指導を担当したため、その期間は平日の昼間にデータ収集が行えなかったこと、さらに12月中旬に深部体温計が故障し、メーカーから代替品を借りられるまで2週間程度、データ収集を行えなかったこともあり、研究が円滑に進まなかった。 研究対象者も2ヵ所の医療施設で不妊治療群の女性を募集し、また出産経験群は区役所、出張所、商店街、親子が遊びに来る施設への掲示板や回覧板等で参加募集を行ったが、昨年度よりも少ない対象者数であった。 以上のことから、当初は不妊治療群140名、出産経験群140名、計280名のデータを集める予定だったが、若干予定データ数を下回り、3月末日に241名でデータ収集を終了した。また、平成24年度に収集したデータに関する分析も行えなかった。 研究計画では平成25年1月から、冷えの改善および健康感の向上を目的とした日常生活行動の教育プログラム試案を実施する予定だったが、これもデータ収集の遅れにより実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、最初に241名のデータ分析を行い、冷えの女性の特徴的な生活行動や嗜好、さらに不妊治療群特有の生活行動や嗜好があるのか否かを検討する。平成23年度に得られたデータ分析結果では、不妊治療群と出産群において冷えに差はなかった。しかし、データ収集をした際に、不妊治療群の女性は冷えを深刻に受けとめている人が多いと感じたので、たとえ統計上に差がなくても、冷えの予防・対策の必要性は変わらないと考える。 よって、本研究結果と韓国の調査結果、先行研究等をもとに、冷えの改善および健康感の向上をめざした日常生活行動の教育プログラムの試案を作成し、その効果を検討したい。具体的には、平成25年の9月ごろに上記の健康教育を実施し、その後1ヵ月後、3ヵ月後と体温及び冷えの自覚、冷えの随伴症状、苦痛の有無等に変化が見られるのか否かを検討する予定である。現在までのところ、この研究へ参加希望を表明している不妊治療中の女性は8名程度いるが、9月までの間で妊娠する可能性もある。そのため、もう少し参加者を増やすように働きかけたいと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用計画としては、データの解析をするにあたり、専門家の助言を得る必要があるため、その謝礼100,000円を計画する。 また、冷えの改善および健康感の向上をめざした教育プログラム試案を実施するためには、スライドやDVDを対象者に見せて具体的な指導を行う必要があり、そのためノートパソコン(200,000円程度)の購入を考えている。本研究では初年度にパソコンを購入したが、これはデスクトップ型であり、データ入力や分析、成果発表の目的で使用しており、今回のノートパソコン使用の目的とは異なる。 教育プログラムの実施後は、研究対象者には実際に家で冷え予防や改善対策を継続して行ってもらわなければならない。そのため対象者に貸し出す、冷えを改善するための物品、たとえば足浴用具や湯たんぽ、表面温を簡便に測定できる体温計等を購入する予定である。この金額については対象者数が10名で、各々に貸し出す必要があるため300,000円を計上する。さらに、研究対象者にはギフトカード2000円を謝礼として渡す予定であり、対象者数10名に対して、教育プログラム実施(介入前)と1ヵ月後、3ヵ月後の各3回、計60,000円を予定している。 研究成果の発表として、平成25年5月に金沢で行われる第27回日本助産学会学術集会の演題発表、平成25年10月に埼玉で行われる第54回日本母性衛生学会学術集会での演題発表を予定しているため、その参加費や旅費、発表準備として100,000円を計上する。また、その後論文も投稿する予定であるため、英文抄録の校閲代金80,000円も必要である。成果の発表としてはICNが不採択になったため、平成26年6月に開催予定の第30回ICM大会に演題を提出した。採択になった場合は参加費も計上したいと考えている。
|
Research Products
(2 results)