2013 Fiscal Year Research-status Report
不妊症女性の冷えの特徴と、健康感及び妊孕性の向上をめざした教育プログラムの検討
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23593342
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邊 知佳子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20366503)
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Keywords | 不妊症 / 冷え / 深部体温 / 末梢部体温 / 躯幹部体温 / 体温較差 / 女性 / 健康 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成23年12月~平成25年3月の秋・冬期間にデータ収集した、不妊治療群と出産群の241名の女性に対する、躯幹部・末梢部の体温測定と冷えの随伴症状及び日常生活行動の質問紙調査の統計分析を行った。その結果、末梢の深部温と表面温は出産群の方が不妊治療群に比べて有意に低く、躯幹と末梢の温度較差に関しても出産群の方に有意に差が開いていた。また、不妊治療群の90.7%が冷えの予防対策を実施しているにも拘らず、不妊治療群では身体の冷えをつらいと感じている者が出産群に比べ有意に多いことが判った。すなわち、不妊症女性には身体の冷えが改善されている実感がない者が多く、ストレスを感じることで、不妊治療中の心身にも何かしらの影響を与えているのではないかと推察された。 上記の分析結果及び先行研究の文献検討を踏まえて、不妊症女性を対象にした、冷えの改善と健康感及び妊孕性の向上をめざした日常生活行動の教育プログラム案を作成した。教育プログラム案は具体的に環境、睡眠、食事、衣類、運動、入浴や足浴の項目から成る。 教育プログラム案への研究参加者を改めて募集し、不妊治療中の女性10名を選定した。平成26年2月に、冷えの予防・改善をめざした日常生活行動の健康教育プログラムを実施した。現在は足浴器やレッグウォーマーを貸し出し使用してもらうとともに、睡眠、食事、衣類、運動、入浴や足浴を日々実践し、その実践状況を記録につけてもらっている。教育プログラム実施1ヵ月後の3月に、体温測定と冷えの随伴症状の質問紙調査、ならびに身体面及び心理面の変化のインタビューを実施した。このデータ収集は6ヵ月後の8月まで行い、その後、分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者は、平成25年4月より所属研究機関を替わった。新しい環境に慣れるまでに時間を要したことや、4~5月には集中授業、6月~9月に臨床実習、10月に集中授業、11月~12月に臨床実習を担当したため、スケジュール的に研究に取り組む時間を捻出することが困難であった。さらに、所属機関が替わったことで、データ収集を行う大学施設と研究対象者の自宅の距離が遠くなり、そのことで研究協力を断られたケースも多く、6ヵ月間連続して研究調査に協力してくれる参加者10名を選定することに時間を要した。上記の理由により、当初は10月からデータ収集を開始する予定であったが、結局は2月からデータ収集を行うことになった。 また研究計画書では、データ収集期間を3ヵ月間と計画したが、冷えの研究者から「6ヵ月程度経過をみないと評価が難しいのではないか」と助言を受けたため、データ収集期間を6ヵ月延長することに変更した。 以上のことにより、研究の全体的な達成度は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年2月に、不妊治療中の女性10名を対象に、冷えの予防・改善をめざした日常生活行動の健康教育プログラムを実施した。現在は指導した内容(睡眠や食事、衣類、運動、入浴や足浴など)を日々実践してもらっている。今後の研究の推進方策として、教育プログラム実施1ヵ月後、3ヵ月後、6か月後に、体温測定と冷えの随伴症状の質問紙調査、ならびに身体面及び心理面の変化のインタビューを実施し、2ヵ月後と4ヵ月後には郵送にて質問紙調査を実施する予定である。平成26年8月にはデータ収集が終了する予定なので、それ以降は統計解析とインタビューの質的分析を実施する。 これらの研究分析結果から、冷えの予防・改善をめざした日常生活行動の教育プログラム案の評価・検討・修正を行う。そして、現在不妊治療中の女性が、身体の冷えによって健康感を損なったり、妊孕性を低下することがないよう、日常生活行動の教育プログラムを提案していきたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
10名の不妊症女性を対象に、冷えの予防・改善をめざした日常生活行動の健康教育プログラム案を実施し、実施後1ヵ月、3ヵ月、6カ月に体温測定と質問紙調査、インタビュー調査、2ヵ月後と4ヵ月後に郵送による質問紙調査を実施する予定であったが、研究開始時期が遅れたため、謝礼や郵送料、物品、消耗品等の購入が遅れている。また、それに伴い、データ解析の際の専門家からの助言もまだ受けていないため、その謝礼も残っている。 計画書の段階では平成25年のICN大会への演題発表を予定し、その旅費も計上していたが、不採択となったため、その予算が残っている。研究発表は行ったが、論文もまだ未投稿のため、英文校閲や投稿料も残っている。 平成26年度は、研究対象者10名に各2回の調査を実施する予定なので、謝礼として計60,000円を計上する。また、研究対象者へ貸し出す冷え対策用品や消耗品を購入する費用150,000円と、質問紙調査の郵送代及び貸し出した足浴器等を返却する送料として30,000円を予定している。 データの解析をするにあたり、専門家の助言を得る必要があるため、その謝礼150,000円を予算計上している。 研究成果の発表として、第55回日本母性衛生学会学術集会、第34回日本看護科学学会学術集会、第29回日本助産学会学術集会への演題発表を予定している。その参加費や旅費、発表準備として200,000円を計上する。また、2015年のICN学術集会への抄録原稿の英文校閲や発表準備、演題登録料で150,000円も予定している。研究成果としては論文投稿も予定しているため、英文抄録の校閲代金や投稿料の100,000円も必要である。
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Research Products
(2 results)