2014 Fiscal Year Annual Research Report
不妊症女性の冷えの特徴と、健康感及び妊孕性の向上をめざした教育プログラムの検討
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23593342
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡邊 知佳子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20366503)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 不妊症 / 冷え / 深部体温 / 体温較差 / 妊孕性 / 日常生活行動 / 教育プログラム / 末梢部体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年2月に、不妊治療中の女性10名に対して、冷えの予防・改善を目的とした教育プログラムを実施した。半身浴と足浴の勧奨、服装、睡眠、運動、食事等を具体的に指導し、足浴器とレッグウォーマーを貸し出した。対象者には指導前と1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月後に体温測定と面接及び質問紙調査を実施した。 1ヵ月後の調査では末梢の深部温が平均2.0℃、表面温が平均1.9℃上昇し、3ヵ月後には指導前より末梢深部温が平均2.9℃、表面温が平均3.0℃上昇した。躯幹と末梢の深部温較差も指導前は平均5.6℃であったが、1ヵ月後は3.6℃、3ヵ月後は2.6℃、6ヵ月後は1.7℃と変化した。しかし、下腹部の深部温は平均35.9℃であったのが、3ヵ月後は35.8℃、6ヵ月後は35.3℃と下降が見られた。夏季で外気温が高かったにも拘らず、発汗により下腹部は冬季より冷えていることが判った。 教育プログラムに参加したことで、対象者全員から「冷えが改善された」という反応があり、さらに「汗をかきやすくなった」、「寝つきが良い、熟睡できる」という意見や、月経痛の緩和、経血量の変化、基礎体温の数値の上昇という意見も聞かれた。そして、指導4ヵ月後に1名、6ヵ月後に1名の妊娠が判明した。 平成23~25年に行った、不妊治療中の女性と出産経験のある女性の体温及び質問紙調査では、出産経験群の方が有意に末梢深部温・表面温が低く、躯幹と末梢の体温較差も大きいという結果になった。不妊症の女性は冷えの悪影響を知っており、身体を冷やさないように留意していたが、神経質になり、さまざまな情報に振り回されている状況も見られた。本研究結果より、不妊症の女性に対して冷えの改善に向けた日常生活行動を具体的に教育し、セルフケアをサポートすることは、健康感や妊孕性を向上させることに繋がると明らかになった。今後は不妊症女性に対する健康教育を広めていきたいと考える。
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Research Products
(2 results)