2012 Fiscal Year Research-status Report
思春期からの子宮頚がん予防ストラテジーに関する研究
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23593358
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中嶋 カツヱ 久留米大学, 医学部, 教授 (10279234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 佳代 久留米大学, 医学部, 准教授 (10289499)
加藤 陽子 久留米大学, 医学部, 助教 (70421302)
永田 真理子 久留米大学, 医学部, 助教 (70586908)
嘉村 敏治 久留米大学, 医学部, 教授 (30152870)
加藤 裕之 久留米大学, 医学部, 助教 (30446083)
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Keywords | HPVワクチン接種 / 子宮頚がん予防 / 養護教諭 |
Research Abstract |
1.24年度は、23年度に実施した母親へのグループフォーカスインタビューによる質的調査より得られた結果の分析をもとに養護教諭の子宮頚がん及びHPVワクチンに関する認識を調査した。福岡県下の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の計1,334校の学校長に勤務する養護教諭(各校1名)を対象とした自記式質問紙調査を依頼し、郵送法により441部(33.1%)を回収し、有効回答である439部(32.9%)を分析対象とした。調査時期は平成24年11月である。調査内容は、基本属性と勤務状況について、年齢、職名、経験年数、現在の勤務校での勤務年数、勤務校の校種・設置主体・在籍児童数・養護教諭の配置数等、自身の健康意識や健康への取り組みとして、定期健診や子宮がん検診の受診の有無等、子宮頸がん・HPVワクチン・子宮がん検診に関する知識25項目についての認知度と養護教諭として必要な知識と思うか、HPVワクチン・子宮がん予防について養護教諭としての関わりの実際である。 2.結果及び現在までの分析 対象の平均年齢は43.5±0.5歳で、50歳台34.4%、40歳台が33.5%であった。養護教諭としての経験年数は20~29年が32%と最も多く、現在の勤務校での勤務年数は5年未満が70.4%であった。子宮頚がん・HPVワクチン・子宮頚がん検診の知識に対する認知度では、HPVワクチンの種類について半数が、効能について34%が、子宮がん検診の受診率が低率であることについて22%が、全く知らないと答えたが、養護教諭として必要な知識だと思うかの問いでは、25項目全項目で9割以上が、どちらかといえば必要である・必要である、と答えた。HPVワクチン接種または関連する内容について47.0%が相談を受けたことがあり、相談したのは児童・生徒が最も多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度に実施した女子中学生を持つ母親へのフォーカスグループインタビューの結果を分析し、母親は自分自身の子宮頚がん予防に関して、娘のHPVワクチン接種の意義を受けとめてはいるが、知識不足による効能やリスクへの不安や躊躇観を持っていた。公費助成は、接種の後押しなっており、母親の不安を解消し、理解を得て効果的にワクチン接種がすすめられるには、母親に対する正しい知識の普及や啓蒙のための方策が求められることが示唆された。この結果を第54日本母性衛生学会(福岡市)にて発表した。 24年度は、養護教諭の子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンへの理解や受け入れを明らかにすることを目的に、福岡県下市町村の小学校・中学校・高等学校に勤務する養護教諭約1,300名に対する子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンについての認識調査を予定していたが、調査依頼先の選択、調査票の作成、所属大学倫理委員会の審査を受け、予定どおり11月に自記式質問紙、郵送法による調査を実施できた。子宮頸がん・HPVワクチン・子宮頸がん検診に関する知識に対し、養護教諭として必要性はとらえていたが、認知度は項目によりばらつきが見られ、HPVワクチン接種に対する理解不足や養護教諭としての関わりの実際が把握できた。さらに分析をすすめており、25年度の研究推進につなげることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は福岡県下の女子中学生を持つ母親約1,500名に対する子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンについての認識調査を実施する。23年度に実施したフォーカス・グループ・インタビュー結果と24年度に実施した養護教諭の調査結果もふまえ、文献・専門家的知識の提供を基に検討し、調査票を作成する。HPVワクチンが定期接種となったことや接種後の副作用の問題がとりあげられていることをふまえ、対象者に研究の目的と拒否する権利を文書にて説明し、調査の同意を得て行うが、特に慎重に実施を進める。 HPVワクチンによるがん予防の先端先進国であるオーストラリアの視察と意見交換については、HPVワクチン接種の方策だけでなく、子宮がん及び女性のがん予防に対する政策よびワクチンの効果に関するデータを把握する予定である。 第32回日本思春期学会で、24年度に実施した養護教諭の子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンへの理解や受け入れを発表し、専門家・学会関係者との意見交換を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
福岡県下の女子中学生を持つ母親約1,500名に対する子宮頸がん・子宮頸がん検診とHPVワクチンについての認識調査の実施について、調査票を作成する。(印刷費)(郵送費)印刷費は、郵送費は24年度に実施した養護教諭の調査に要した経費を参考とする。 調査票作成にあたっては、24年度に実施した養護教諭の調査結果もふまえ、専門家の意見などとの意見交換や情報交換を行う会議を設ける。(会議費・交通費) 調査依頼先の選択、協力依頼は、学校関係者や保護者との交渉ができる研究協力者を確保し、協力のもとに実施する。(交通費)(通信費) 頸がん予防HPVワクチンの先端実施国(オーストラリア)への視察・意見交換を研究代表者(中嶋)と研究分担者(田中)が実施する。(国外旅費)(現地協力者謝金) 第32回日本思春期学会で24年度の養護教諭に対する調査結果を中間成果発表(和歌山市)とよび思春期専門家との意見交換・情報収集(交通費)(宿泊費)
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