2012 Fiscal Year Research-status Report
職域壮年期男性における教育波及効果を意図した保健指導モデルの開発
Project/Area Number |
23593381
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
千葉 敦子 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (30404817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 春江 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00315540)
藤田 修三 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20173429)
森永 八江 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (40404818)
川内 規会 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30315535)
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Keywords | 職域 / 生活習慣病予防 / 壮年期男性 / 教育波及効果 |
Research Abstract |
生活習慣病の増加はわが国の重要な健康課題であり、中でも、健康に興味や関心を示さない人々への有効な働きかけが求められている。そこで、職域壮年期男性を主対象に、生活習慣病予防に近年の重要な健康課題であるメンタルヘルスの視点を取入れた、健康教室参加者からの教育波及効果を意図した保健指導モデルを開発し、その効果を検証することを目的とした。 24年度は、A社において①「個人への積極的支援」と、②「周囲への戦略的波及効果促進」の2つのアプローチを連動させた保健指導モデルを実践した。まずは、A社の生活習慣病に関する健康課題を抽出し、本保健指導モデルにて目指す目標を定めた。そのうえで、①「個人への積極的支援」として、自主的参加者を対象に集団方式での健康教室を3回1クールで開催した。健康教室の内容は栄養・運動・コミュニケーションとし、すべての要素にメンタルヘルスとの関連を強化して盛り込むとともに、単なる正しい知識の普及ではなく、参加者が個々人に応じた「コツ」や「チエ」といった生活に取り入れやすい体験知を身につけ、他者へ勧めたいという意欲が増すようなプログラムとした。同時に、②「周囲への戦略的波及効果促進」のアプローチを実施し、健康教室参加者から周囲の社員および組織全体へ意図的に教育効果を波及させ、社員全体の健康増進を図ることをねらった。本モデルの評価は、参加者の教育効果および非参加者・組織全体の教育波及効果であり、その指標としては、健康教室の満足度、健診データ、健康習慣行動、行動変容ステージ、精神的健康度、学習内容の伝達状況、介入後の主観的影響、コミュニケーションの状況、組織および職場全体の変化、である。これらの指標に関して分析を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、職域壮年期男性を主対象に、①「個人への積極的支援」と、②「周囲への戦略的波及効果促進」の2つのアプローチを連動させた、健康教室参加者からの教育波及効果を意図した保健指導モデルを開発し、その効果を検証することである。 24年度は当初の計画通り、1社にて保健指導モデルを実践することができた。教育効果を波及させるためには、発信源である健康教室参加者がまずは伝達意欲を有することが重要である。Dictherらは、発信者のクチコミの動機について、熱中、自己満足、他人への行為、メッセージの誘引をあげているが、本研究においても参加者が教室に参加して効果があった、よかった、おもしろかった等、自己満足や熱中といった心が動く体験をすることが他者への伝達意欲の契機につながると考えられた。24年度の参加者による健康教室満足度調査では概ね高い評価が得られており、また、伝達意欲調査においても良好な結果が得られいることから、本研究目的の達成度は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度も引き続きA社において保健指導モデルを実践する。その際には、24年度の評価に基づき改善を加える。、①「個人への積極的支援」に関しては、健康教室を前年度と同時期に3回1クールで開催する。参加者は新たに募集するが、再参加も可能とする。25年度は、健康教室参加者の教育効果を分析するとともに、健康教室の何の要素が伝達意欲に関連するのかについても分析する。、②「周囲への戦略的波及効果促進」に関しては、波及促進の強化方法を検討していく。また、これまでは波及効果を量的分析にて解明を試みているが、25年度は、教室参加者一人一人にインタビュー調査を行い、波及のプロセスを質的分析により丁寧に検証する予定である。 教育波及効果に関しては即時的な出現は望めないため、長期的・段階的に効果評価を行い、最終年度において総括評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、保健指導モデルを1社を対象に実施する。このために必要な主な経費は、①企業と大学の打合せ・教育実施・成果発表に伴う旅費、②波及効果促進グッズの開発にかかる費用、③健康運動指導士等講師への謝礼、④アンケート印刷・入力等の事務作業補助にかかる謝金、⑤加速度脈派レンタル費用、ライフコーダの備品、⑥満足度分析のためのソフト等である。 このうち、備品に関しては,運動量測定のためのライフコーダが健康教育対象者の人数分必要であり、不足分を補充する必要がある 。また、25年度は、健康教室の要因と伝達意欲の関連について詳細に分析をするため、その分析ソフトを購入する予定である。
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