2011 Fiscal Year Research-status Report
子ども虐待予防に資する「ソーシャル・キャピタル」醸成方法に関する研究
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23593405
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 仁子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (40125919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 眞知子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (10320996)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 子ども / 虐待 / 保健師 / 民生・児童委員 / 主任児童委員 / 子育て支援 / 自治会 / コミュニテイ・ミーテイング |
Research Abstract |
子どもの虐待を予防することを目的にある1地区(自治体連合会)に研究者が保健師等と協働しながらコミュニテイ・ミーテイング(以下CMと略す)という方法を行いながら介入していき、活動した内容を地区住民の方に知っていただき賛同または協働活動をおこすような地域のソーシャルキャピタルを醸成していくプロセスを記述し、その効果も明らかにすることを研究目的としている。 本年度は特にフィールド選定と地域の住民に対して研究実施の広報活動を行った。フィールド選定に当たっては、行政職員に研究の説明を行い協力をえられることになり、フィールド選定を行政職員の協力のもとに、1つの自治会連合会をフィールドとするが、地理的にあまり広くなく、人口規模も10000人以下という条件のもとで選定を行い、A地区(人口3300人、年少人口11.0%、地区内小学校1)に決定した。 その後A地区の自治会長(8人)や民生・児童委員、A地区の住民が通う小学校のPTA役員および子ども会役員への研究説明と協力依頼を実施した。また、地区の状況把握のため、地区担当保健師や主任児童委員、近隣地区にある保育所の保育士へのインタビューを行った。また、地区住民へ研究の広報活動として、本研究に関する地区新聞の発行、キックオフの講演会をテーマ「地域の子育ての輪を広げよう」として行った。 A地区の状況として、インタビューでは虐待を疑われるケースはほとんどいないこと、小学校入学以降は子ども会へ参加する割合が高いが、乳児期や幼児期の保育所や幼稚園へ入る前は、親同士が顔見知りになるチャンスが少ないこと、そのため相談相手がいないで子育てをしているケースもあること、地区内および家族内でも世代間での交流が少ない可能性があることが話された。講演会には周知期間が1ヶ月と短かったが、地区住民等33名、市役所関係者等13人が参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はアクションリサーチ研究であるため、本年度の目標は、フィールドの選定と地区住民および行政等の関係機関への協力依頼であった。 フィールドは行政の協力を得て選定ができ、地区住民への説明も、会合への参加等を行いながら順調に行う事ができた。その結果として、講演会の実施時に行政等の関係者および地区住民の参加者が得られたことが成果と考えられる。中でも、民生児童委員の声がけによって参加したと推察される住民もいたことは、研究実施の承認をえられたと考えられ概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、CMという手法によって地域介入を行うことで、地域内における子育てについての関心を広め、子育てに支援者の輪を広げていくことで、子育てについてのソーシャルキャピタルの醸成を目標としている。そのため、今後はCM実施に受けての準備を本格的に行い、次に実際に実施し、その後評価というプロセスを時間をかけながら行う。また、地域内に子育てについての情報や本研究で行っている活動内容の情報発信を行い、子育て支援への認知を深めていくことが重要となるため、順次ニュース等を発行したり、webサイトで情報を発信していく。 2012年度は、CM実施のための準備を本格的に行い、メンバーやテーマについて検討を行う。また、地区内の状況について、評価のための基礎資料となりうる地域内でのつながりや子育ての状況、また情報入手の手段について実態調査を行う。また情報発信のためのニュース発行等を行う。 2013年度は実際にCM(3時間を3回)を行い、評価のための直後アンケートおよび参加者へのインタビューを行う。また、CMの状況や活動内容を周知するためのニュース発行を行う。 2014年度は研究のまとめとして、CM実施後のフォローのための支援活動を行うとともに、地区に対しての状況変化のための調査を行い、研究の経緯および成果について総括を行うとともに、研究成果および研究の収束を知らせるためのニュース発行を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度当初計画より、研究に必要な物品の調達を安価に行うことができたため、次年度に使用する研究費3644円が生じた。 前述したように、CM実施のための行政等との打ち合わせや住民を交えた準備会(会議費1万円)を行い、会議等の実施の際に必要な持ち運び可能なスクリーン(2万円)を購入する。会議等の内容については業者に文字起こしを依頼する(テープ起こし12万円)。研究班会議のための旅費(7万円)は極力最小限にし、ニュース発行のための資料整理(20万円)や印刷費(8万円)を確保する。 実態調査については、印刷代(5万円)、郵送代(4万円)、資料の整理のための賃金(11万円)で行い、フィールドへ打ち合わせや会議等で研究者および連携研究者等の交通費(10万円)が必要である。 ソーシャルキャピタルについて等の文献購入(3万円)、文具代購入(5万円)、通信費(2万円)が必要となる。
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Research Products
(1 results)