2011 Fiscal Year Research-status Report
多職種によるリエゾン精神医療チーム内および一般科との間の連携・協働のあり方の検討
Project/Area Number |
23593473
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山内 典子 東京女子医科大学, 大学病院, その他 (10517436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コンサルテーション・リエゾン精神医療チーム / 連携・協働 |
Research Abstract |
多職種からなるコンサルテーション・リエゾン精神医療チーム内の各職種の役割・機能を明らかにすることを目的に、平成23年6月~12月の間にデータ収集を行った。具体的には、研究者ら(実践を行うリエゾンナース、臨床心理士)が事例ごとにコンサルテーション活動時の各職種の役割・機能、対象の変化をデータとして記録した。その後、平成24年1月~3月に、得られた59事例のデータから各職種の役割・機能を抽出した。なお、データの妥当性および分析結果について、実践に直接関わらない研究者のスーパーバイズを得て、研究者全員で検討、確認した。 結果、精神科医は主に患者の精神障害に対する診断および薬物の選択、その後の評価を行っていた。しかしながら、継続したモニタリング、評価のなされない事例もあることが明らかとなった。リエゾンナースと臨床心理士は、患者や医療従事者にとって精神科医よりも敷居の低い存在として、患者・家族に対する精神状態の査定、それに基づいた直接的なケア、医療従事者からの相談への応答、患者理解とケアのための保証や教育的支援、人間関係および状況の調整(患者・家族間、患者・医療者間、医療者間のコミュニケーションスタイルの評価・介入)を共通の役割として担っていた。 一方、両者においてアプローチ方法には一部違いがあることも明らかになった。リエゾンナースは、より看護師の側面的支援を重んじ、倫理を含む看護チーム内の葛藤の調整や対応困難な患者の理解を通したケアの促進を行っていた。また、患者・家族に対しては、生活全般のセルフケアの査定を重視していること、積極的傾聴を中心とする中で、保証や認知への気づきを促す介入が多いことがわかった。これに対し、臨床心理士のほうがより認知機能や性格傾向の評価に客観的ツールを用いており、構造化された心理療法を扱っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、臨床における実践活動を通して行うアクションリサーチである。実践上、各職種の役割・機能について明確化し、各職種間で共通理解を図ることはチーム活動上、最も重要なことと考え、初年度はここに重点を置いた。研究計画立案当初は、連携のあり方、方法を明らかにすることも含めていたが、この点はまだ不十分であり、次年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に精神科リエゾンチーム加算が新設され、本研究実施施設においてもその導入の動きがあり、それに伴い連携方法の検討が開始されている。今後、検討事項や実践、評価もデータとして蓄積して、チーム連携を促進する要因、逆に阻む要因を明らかにする予定である。 また、従来の計画通り、精神医療ニーズの高い循環器科、救命科、糖尿病科の3科において、より機能的な連携を明らかにするために、コンサルテーション・リエゾン精神医療チーム間の連携・協働の具体的な過程を捉える予定である。具体的には、その科の精神医療ニーズのヒアリング、連携方法、チーム介入による患者の状態や治療環境を含めた状況の変化をデータとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、上記に示した結果を各職種(看護学・心理学・医学)の学会において報告するための費用、また関連図書の購入にあてる予定である。また、チームへの全コンサルテーション件数、連携の内訳、連携した場合の対象の精神状態の変化等のデータを蓄積した後の統計学的処理を行うためのソフトを購入する。
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