2012 Fiscal Year Research-status Report
自助グループひきこもり「親の会」における支援プログラムの提案
Project/Area Number |
23593475
|
Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
斎藤 まさ子 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 准教授 (50440459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 恵美子 新潟青陵大学, 大学院臨床心理学研究科, 教授 (80219245)
真壁 あさみ 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 教授 (20290067)
内藤 守 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 助教 (80410249)
|
Keywords | ひきこもり / 親の会 / 支援プログラム / 自助グループ |
Research Abstract |
前年度に各地の親の会(以降、会)の会員30名に入会前後の体験について面接調査し、H24 年度は4つの分析テーマを設定し質的に明らかにした。まず”ひきこもりの子どもをもつ母親の親の会での体験”として23名の母親のデータを分析した。母親がそれまでの価値観から子の立場に立った価値観に転換するためには、母親の心理的安定を図る必要性が示唆された。2つ目は、”高校・大学時でひきこもりとなった子どもをもつ母親の体験”であり12名の母親のデータを対象とした。高校・大学では義務教育期間と違い支援は少ない。会に参加するまで、年単位で〈探し求める道しるべ〉で右往左往している状態が続いていた。ひきこもった初期に利用する相談機関で母親の受容、道しるべをともに探す関わりや情報提供できることの必要性が示唆された。3つ目は、”ひきこもり親の会で母親が子どもとの新たな関わり方を見出していくプロセス”で23名の母親を対象とした。これは〈子どもの生き方を受け入れる〉プロセスであり〈子どもの立場で考える努力〉をターニングポイントとして関わり方が変化していた。長期的な流れの中で会が母親の揺らぎを支えていること、会への期待が変化すること、動機継続のために会がエネルギー補給をしていることが明らかとなった。4つ目は、7名の父親が対象で、ひきこもりに向き合う認識変化のプロセスを分析中である。1-3つ目までは、プロセス性のある結果図として提示しており、対象者がどの時期でどの支援が必要かがアセスメントできる。また、家族が求める支援内容について全体的な傾向を明らかにする目的で、NPO法人全国ひきこもり親の会を対象とした質問紙調査を実施し、312名の回答を得た。今までの相談経験や、親の会への参加の影響、体験回避の程度、親の会への要望などを提示し、報告書を作成し家族に配布した。今後は、統計的に各項目同士の関連を明らかにしていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、全国親の会を対象とした質問紙調査は、H25 年度を予定していたが、昨年末に実施できた。H24年度にも面接調査を予定していたが、H23年度にデータ収集のすべてを終えることができ、分析を早期に実施できたことが、関連して作成する尺度が早期に出来上がることにつながった。 また、親の会に例年調査を実施している徳島大大学院の境泉洋准教授と協力態勢で調査に臨めた事も達成度に影響している。調査が1回ということで、より多くの親の会の方々の協力を得られたものと考える。 研究班4名の会議を月1回は定期的に開き、各自の活動状況と課題について話しあい、出張については情報を共有した。そのため、先延ばしすることなく与えられた課題を実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度は調査結果を踏まえ、どのような家族にどのような支援が必要なのかを明らかにし、個々の家族のニーズに柔軟に対応できるような支援プログラムを提案することを目的とする。そのために、調査結果の項目間の関連を統計的分析で明らかにしていく。さらに、調査から浮かび上がってきたキーワードや示唆を与える概念について、検討を深めていく。方法は文献を活用することと、関連の研修会等に参加し、当該研究に活用可能かどうかを検討することがある。さらに、質問紙調査結果から各地の親の会の特徴を明らかにし、参考となる会を視察に行く。 これらをとおして、支援プログラムを提案する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・次年度使用額が1547円である。予定が実施できたことで、残が生じた。 ●次年度以降に請求する研究費の使用計画 ・文献購入、プログラムに関連した研修会等への参加、特徴的な親の会の活動の視察、 H24年度の研究結果を親の会にリーフレットにして配布、面接調査の父親に関するこ と、質問紙調査に関する学会研究発表および学会誌投稿、報告書作成
|