2011 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設における看護・介護職者の協働・連携を促進するための教育モデルの開発
Project/Area Number |
23593481
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小林 貴子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (50279618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 優子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (50284120)
横山 浩誉 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (20550510)
北村 有香 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (10438236)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 介護保険施設 / 高齢者 / 協働 / 連携 / 看護 / 介護 / 実践知 / 教育モデル |
Research Abstract |
計画に基づき23年度は、介護保険施設における看護職及び介護職との連携・協働の実態把握の為の現状調査と文献検討を行なった。過去10年間の文献を医中誌Web版から検索し分析を行なった。結果は24年6月に日本保健医療行動科学会にて発表する。文献検討の結果から、介護保険施設の看護師は看取りの場面や急変時に身体の変化に関する兆候を予測できることが期待されている。介護保険施設では数少ない看護師の力で利用者を支援することが困難であり、介護職、医師との連携が不可欠であること、現状では連携のための教育プログラムがない実情が確認できた。 また関東・関西の複数の介護保険施設において、参加観察と面談による事前調査を行なった結果、法人規模や地域性の異なる何れの施設においても共通して高齢者の健康問題への対応に苦慮していた。看取りを標榜した施設でも、看護職・介護職の何れもが高齢者の健康状態変化時の対応に不安を持ち、連携・協働への課題を表現していた。 連携・協働の推進に対し看護職者は看護職の人数を増やす事を希望し、施設管理者は現状の中で看護職と介護職の協働の推進を期待していた。調査した介護保険施設で得られた知見は、文献検討からの示唆と類似した課題を提示している事が推察された。 調査した一法人では、認定訪問看護師(保健師職)と医師が中心となり系列法人の看護・介護職員の合同事例検討会を実施していた。特徴はICFの理念を反映した記録様式を使用した試みであった。現在試行中でありキーパーソンとツールに有用な示唆を得た。 また連携研究者を含めた研究会議では、看護師の「実践知の可視化」の側面から事前調査の看護師のデータ1例の分析及び、KINGの論文の分析から「実践知と直観」についての検討を重ね調査方法についての準備を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献検討及び現状把握は、概ね交付申請内容の予定で実施したが、23年度に予定した倫理審査委員会の申請が次年度に先送りとなった。現状把握を行うなかで、情報収集させていただいた介護保険施設の職員の教育支援への相談、介護保険施設の地域支援事業への協働を担う等の実践活動を行なった。本研究の趣旨からも必要な事柄であるが、研究の推進も同時に図るよう研究分担者との調整を図り進行する必要があった。迅速に研究計画を再考し、倫理委員会の承認を得て本調査にすすめるよう研究の推進を図る。
|
Strategy for Future Research Activity |
23年度の文献研究結果は、24年6月の保健医療行動科学学会に発表する。24年度は本調査のためインタビューガイドを作成する。プレインタビューと分析を経て実施計画のブラッシュアップを図ると共に所属施設の倫理審査を受ける。倫理委員会の承認の後、介護保険施設に勤務する看護師へのインタビュー調査を実施する。 調査結果は、逐語録としてデータ化し研究者グループで質的に分析する。更に質的研究のエキスパートのスーパーバイズを受け、分析の精度を確保する。ケース別データ結果から、介護保険施設に勤務する看護師の実践知を明らかにし可視化する。可視化されたデータから連携・協働のための要素を再構成する。またテキストマイニングソフトを活用し、要素間の関連性の可視化を試みる。また看護師の実践知をに関する海外文献の分析は継続して行い、教育モデルの開発に向けた検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(593,385円)のうち10万円は平成23年度に予定した学会発表が24年6月の「日本保健医療行動科学学会(岐阜県)」(2名分)となったため、繰り越した。また本研究の進行に若干の遅れが生じたため、調査ガイド作成に使用予定であった人件費・謝金20万円,データ収集及び逐語録作成費20万円は、24年度に調査を実施し使用する。 平成24度の研究費を使用して、地域の異なる(関西、東海、関東圏)介護保険施設に勤務する看護師へのインタビュー調査を実施する為に60万円を使用する。内訳は、研究協力謝礼4万円(2千円分の図書カード20名分)逐語費用(60分あたり2万円の20件分)調査交通費16万円を使用する。 データの質的分析を行うための費用50万円。内訳は分析のための研究会議への連携研究者を含めた交通費(42万円)。研究打ち合わせ会議(連携研究者:北海道2名東京3名を含む)は、本研究の質的分析・教育モデル開発に重要な位置を占める。利便性の良い東京駅周辺の会議室での開催も含め、会議費用として8万円使用する。内訳(八重洲ホール小会議室:3時間約2万円)を3回分と本学1回)。 また言語データの関連図式化が図れるテキストマイニングの簡易ソフト1、追加文献の取り寄せ、抄録用翻訳費の使用を予定している。
|