2012 Fiscal Year Research-status Report
抗精神病薬に依存しない認知症高齢者ケアを促進するためのケア・プロトコールの作成
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23593482
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
河村 圭子 梅花女子大学, 看護学部, 教授 (30214274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 みわ 梅花女子大学, 看護学部, 講師 (90461970)
人見 裕江 近大姫路大学, 看護学部, 教授 (30259593)
中村 陽子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00341040)
谷向 知 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90361336)
田代 麻里江 梅花女子大学, 看護学部, 准教授 (80336619)
吉田 さとみ 梅花女子大学, 看護学部, 助教 (90634634)
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Keywords | 認知症 / BPSD / 行動症状 / 抗精神病薬 / 高齢者 / 非薬物療法 |
Research Abstract |
認知症高齢者に対する抗精神病薬の投与については,現在,適応外処方とされているものの,我が国を含め多くの国で投与が行われている実情が報告されている。本研究では認知症高齢者の治療・ケアに従事する医師,看護師,介護福祉士,ヘルパーの計25名に対し半構造化インタビューを実施し,1.認知症高齢者に対する抗精神病薬投与の意思決定への関連要因および,2.看護・介護職員が実践するBPSDに対する非薬物的介入の実態について質的記述的研究を行った。 1.については各職種に共通して抽出されたカテゴリーは<症状緩和><周囲との関係維持><介護負担><人員・時間不足>の4つであった。また医師は介護・看護職員からの依頼、介護・看護職員は医師の価値観を投与要因のひとつと捉えていることが分かった。認知症高齢者に対する抗精神病薬投与要因に職種によるとらえ方の違いがあることが分かった。抗精神病薬の過剰投与を避けるためには、異職種間のコミュニケーションが重要かつ不可欠である。 2.非薬物的介入として<ニーズ・アセスメント><BPSDに対応したケア><環境調整><家族看護>の4つのカテゴリーと<生活背景に基づく分析><そばに寄りそう><安全のための環境調整>など13のサブカテゴリーが抽出された。積極的傾聴、安心感を与え否定しない声かけ、目線を合わせた対応など認知症高齢者を尊重した対応がなされていた。そしてこのようなケアを効果的に行うには、スタッフ教育、職種間の連携、マンパワーの不足などが繰り返し訴えられた。BPSDに対する非薬物的介入では、対象者のニーズに基づく状況判断が求められる。ケア提供者はニーズ・アセスメントに基づき臨機応変に対応していく能力が必要となる。BPSDに対する直接的ケアを効果的に実施するには、環境調整やスタッフ教育、マンパワーの充足など、管理的側面からの間接的ケアも重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3月末までアンケート調査を実施する計画であったが、調査票の作成が遅れたため、6月上旬に発送となった。そのため知見の発表として20th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics in Seoul, Korea, June 23-27, 2013,には間に合わず、日本老年看護学会において発表することとなったが、質的研究の成果の報告に止まった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)調査票の作成と予備調査:質的研究によって抽出されたテーマに基づき調査票を作成し予備調査を行う。 2)本調査:日本精神病院協会のHPに公開されている認知症ケア病棟を有している精神病院(全数)の施設代表者もしくは看護部(師)長宛てに,看護研究倫理委員会の規定に基づく研究協力依頼の説明書を配布し研究協力者を募る。 研究対象者の選択基準は,①認知症高齢者ケアに携わる医師・看護師・介護,②介護老人保健施設に勤務する者とする。 3)データ分析:因子分析とクローンバックα係数による解析を行い、尺度の妥当性と信頼性を検証する。 4)プロトコール作成:海外で発表された認知症高齢者の行動症状のケア・プロトコールに本研究知見を統合し,プロトコールを作成する。 5)論文投稿
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)調査票の作成と予備調査,本調査にかかる費用:印刷費および製本費,郵送費,謝礼 2)データ分析:業者によるデータ入力と解析に係る費用 3)論文投稿費 4)製本費:研究報告書の作成費用 5)その他:会議費,通信費,文房具等の購入費用
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Research Products
(2 results)