2011 Fiscal Year Research-status Report
酸化亜鉛中不純物ドナー位置での伝導電子散乱現象の探索
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23600004
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 渉 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90333319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 嘉高 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (70201374)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ZnO / 不純物 / 摂動角相関 / RI / インジウム / アルミニウム |
Research Abstract |
本研究では、ZnO中でドナーとして機能することが期待される13族元素の不純物をZnO試料中で均一に固溶・拡散させることを目的の一つとしている。平成23年度は13族元素のうち特にInとAlに着目して、導入法の検討とその存在状態を調べる実験を行なった。InおよびAlのそれぞれの硝酸塩とZnO粉末の混合試料を焼結し、固相反応による不純物元素の拡散を試みた。合成試料における不純物の存在状態は以下の方法で調べた。 Zn位置を置換することを既に確認済みの放射性核種(In-111およびCd-111m)を不純物を導入した焼結試料にトレーサー量添加し、これらの娘核種をプローブとするγ線摂動角相関法によってプローブと不純物との相互作用を観察した。In-111(→Cd-111)をIn-ZnO に導入した実験では、プローブが非放射性Inとのユニークな相互作用をしていることが示されたのに対して、Al-ZnO中では、スペクトルの周波数に大きな分布が現れ、プローブはAl原子の作る無秩序な場を感じていることが明らかとなった。また、Cd-111m(→Cd-111)をIn-ZnO に導入した実験では、非放射性Inの濃度が増加するにしたがって、プローブ核位置での局所環境も多様化する方向に変化することが分かった。一方、Cd-111m(→Cd-111)をAl-ZnO に導入した実験では、Alを10%ドープした場合でさえプローブ近傍にAl原子が存在しないことが示唆された。以上の結果から、不純物として導入されたIn原子はZnO中で均一に拡散しているのに対して、Alは凝集相を形成しており、ZnO中での拡散が不十分であることが明らかとなった。 本研究に関する成果は投稿論文にまとめて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不純物のZnO中での拡散を目的とした実験の中で、Inの拡散は達成できた。また、In-ZnOについては、当初予定したプローブ位置での伝導電子散乱に関する知見も得られた。しかしAlについては、いまだ導入法を検討する余地があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnO中での不純物の存在状態について、さらに研究を進める。特に平成23年度に達成できなかったAlの拡散については、導入条件を検討して、局所構造の変化を観察する。今後は他の13族元素についても同様の実験を行なうことによって、不純物のZnO中での存在状態と伝導電子挙動について、系統的に調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は大学での業務により、予定していた国際学会への出席を見送った。また、国内の旅費や消耗品については、共同研究を行なっている他の機関からの補助もあり、計上した経費を予想よりも下回る出費となった。 平成24年度は、当研究に関連する2つの国際学会に出席予定であり、平成23年度からの繰越金をこの費用に充当することができる。また、放射線計測に関わる機材を一部更新する必要が生じたので、主な物品費はこれらの購入のために使用する予定である。
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Research Products
(6 results)