2013 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛中不純物ドナー位置での伝導電子散乱現象の探索
Project/Area Number |
23600004
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 渉 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90333319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 嘉高 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (70201374)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 摂動角相関 / 不純物 / インジウム / Cd-111 / 電場勾配 |
Research Abstract |
本研究では、ZnO中にドナーとして機能することが期待される13族元素を不純物として導入し、それらの極微量の原子の存在状態を不安定核プローブの核分光法によって原子レベルで解明することを目的としている。3ヶ年計画の初めの2年間(平成23~24年度)で、0.5 at.%のInを導入したZnO中でIn原子同士が凝集してユニークな構造を形成していることが明らかとなった。このユニークな構造は数個のInが集まった小さな構造体を形成してZnO中に均一に分散していることを実験的に示した。 平成25年度は、不純物Inの存在状態が導入されるInの濃度によってどのように変化するのかを、111Cd(←111In)プローブを用いた摂動角相関法によって詳細に調べ、以下に示す結果を得た。1)In 濃度がトレーサーレベル(100 ppt)の場合、Inイオンは近傍に欠陥を生成することなく(defect-free)Znを置換して固溶する。2)Inの濃度が0.05 at.%に達すると、上記の構造体が析出し始める。すなわち、この濃度領域においてInが固溶限界に達することが示唆された。3)0.5 at.%の濃度では固溶するInは消失し、導入されたInのほとんど(85~87%)が上記の微小な構造体を形成する。4)2 at.%では、この構造体の数が増加して互いに隣接する確率が高まるため、プローブ核位置での電場勾配に分布が生じる。5)Inの濃度が10 at.%に達すると、Inは異なる3つのサイトを占有し、より複雑な構造を形成していることが示唆された。電場勾配の大きさと非対称性から、この3つのサイトのうちの1つはInの濃度が0.5 at.%の試料に存在する成分であり、他の2成分は酸化インジウム(In2O3)に類似する構造体の中に取り込まれたプローブに由来していることが明らかとなった。 上記の研究成果の一部を論文にまとめて投稿した。現在審査中である。
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