2012 Fiscal Year Research-status Report
冒険遊び場における子ども環境のネットワーク化に関する研究
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23601001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 慎也 山形大学, 教育文化学部, 教授 (20260424)
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Keywords | 創造的な遊び / 子育て支援 / 冒険遊び場 / 保護者 / ネットワーク / 東日本大震災 / 子育て支援施策 / マネージメント |
Research Abstract |
平成24年度においては遊び場の利用状況の把握ならびに役割に関わる事例調査を実施した。2011年3月11日に発生した東 日本大震災後、震災復興に向けて、子ども支援の形は、被災した子どもたちの保護の目的から、子どもたちの関係性の再構築という視点に移りつつある。移動型プレーパークの方法は、仙台市内でのNPO冒険あそび場せんだい・みやぎネットワークでの取組みは2年目を迎え、公園や仮設住宅での活動を拡充するとともに産直ショップぐるぐると連携して、子育て世代と高齢者とが出会うきっかけづくりなども進めている。また上荒井公会堂を活用しての乳幼児向けの広場型活動も実施しており、地元町内会との交流の場では、町内会組織に入らない若い世代を地域と新しい形で防災面も含めた繋げる役割として期待を寄せられている。 宮城県北部での活動では、移動型プレーパークとして実施していた活動が地域定着型の活動に変化を見せている。石巻市立住吉小学校、開北小学校で隔週ごとに実施してきた移動型プレーパークは、石巻市中瀬での活動に移行し、地元NPOと連携して実施する方向になってきている。石巻市橋浦小学校の裏山では、20年前に学校の裏山を活用した活動が行われていたが、新たに再開拓を行い、裏山プレーパークとなった。2013年度からは新たに地域の学校が合併することを受けて放課後遊びの場として開放され、学校連携型のプレーパークとして期待されている。 こうした社会包摂的な活動として地域の子育て支援に関するニーズに合致した活動が地域団体と連携する形で進んでおり、冒険遊び場を始めたいといったニーズは拡大していく傾向にある。今後は、運営資金面の確保の方法と担い手育成に向けた研修方法の確立などの課題が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では冒険遊び場における保護者によって成立した子育てグループならびに地方自治体における子育て支援施策に着目し、新たな地域の子育て支援環境のネットワークの構築に向けた課題と方策を明らかにすることを目的としている。平成24年度の課題としては第一段階としての保護者の利用状況の把握と役割の調査のまとめ、第二段階として冒険遊び場のマネージメント方法の調査の実施、第三段階の研修プログラムの開発および子育て支援ネットワーク構築プロセスについての検討ならびに調査を開始した。震災後、2年を経過し、子育て支援に取組む団体間の相互連携が図れるようになってきた反面、震災支援から撤退するNPOも徐々に増加し、地域の子育て支援に向けたニーズが高まる中で、個々の活動団体の先鋭化は進んでいるが、地域的には十分に人的なマネージメントができていない面がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までは、主に東日本大震災後の冒険遊び場に着目し、子育て支援環境のネットワークの構築に向けた課題を追ってきたが、こうした課題には、震災がきっかけになったものと、震災以前の過疎化からすでに始まっていた課題とが混在していることがわかってきている。今年度は、被災地に広がる冒険遊び場の活動に着目しながら、他地域でも冒険遊び場の活動がどのような形で地域とのネットワークを形成するに至っているのかについて解明する。また冒険遊び場が複数存在する自治体では、地域政策として位置づけられているものも見られるため、そうした冒険遊び場は関連づけて地域政策化の課題を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の調査では、調査旅費として東日本大震災で被災した宮城県、岩手県を中心に保護者による子育て支援ネットワークの構築状況と行政との関わりを調査するとともに北海道、関東地方、中国地方等での地方自治体と地域住民との関わりで生まれてきている冒険遊び場の地域政策化について把握する。事後の資料整理として学生の人件費等が必要となる。研究会でのディスカッションならびに学会での発表経費が必要となる。また冒険遊び場に関わるプロジェクトリーダーからの調査分析に向けての検討打合せが必要となる。
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Research Products
(1 results)