2014 Fiscal Year Annual Research Report
思春期のレジリエンスと健康行動の関連についての実証的研究
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23601002
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上地 勝 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20312853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 正樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10202417)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | レジリエンス / 思春期 / 健康リスク行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
レジリエンス(resilience)は弾力性,復元力などと訳され,個人の特性等の内的要因に加え,家族や学校,地域社会との関係などの環境要因を含めた包括的な概念とされている。その定義は十分に統一されてはいないが,ストレスのかかった状態や困難な環境にも関わらずうまく適応する過程・能力・結果とされ,ストレッサーの防御因子,ストレス反応を低減させる機能であると考えられている。多感で,様々なストレスに曝されやすい思春期においては重要な意味を持つと考えられる。 本研究は大きく3つの柱で構成された。一つ目は国内のレジリエンスに関する研究の動向を把握すること,二つ目は思春期の子どもを対象としたレジリエンス測定尺度を開発すること,三つ目は思春期の子どものレジリエンスと健康関連行動との関連性について検証することであった。 国内の研究動向についてレビューを行ったところ,論文数は1978年から2004年頃までは0~数件に留まっていた。2005年頃から論文数が増加し,2011年には60件近くまで増加した。対象者は幼児から中高齢者まで幅広く,特に大学生,中高生が多かった。また,困難な状況に直面している人に限定されているわけではなかった。 中学生および高校生を対象にレジリエンス尺度の信頼性と妥当性を明らかにし,尺度開発を行った。 高校生を対象とした横断研究により,レジリエンスと交通ルール遵守との関連について検討した結果,特に男子高校生においてシートベルト着用,自転車乗車中の携帯電話使用による接触事故,ニアミス経験と学校得点に関連が見られた。また,高校生の健康関連行動とレジリエンスとの関連性について縦断的に検討したところ,夏期休暇前から一貫してレジリエンスが高い生徒ほど夏季休暇中に危険行動を起こさない傾向が見られ,逆に低い生徒は夏季休暇中に危険行動に走りやすく,複数の危険行動を起こす傾向が見られた。
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