2013 Fiscal Year Research-status Report
被検者への負担が少ないPET入力関数測定法確立に向けての物理的障害要因の克服
Project/Area Number |
23602001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 直樹 北海道大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (80241389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 哲 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80374495)
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Keywords | 入力関数 / ファントム / 超音波診断装置 |
Research Abstract |
医用画像診断装置により得られた画像データから被検体の血流動態などの生体情報を解析することは行われている.従来の方法において動脈中の造影剤濃度(あるいはトレーサ)を測定し,組織内濃度と組み合わせることで絶対値を算出している.動脈中の濃度を使用しない手法も報告されているが,定性的あるいは半定量程度の精度にしかならない.本来,組織への流入動脈の濃度を測定しなければ真の値を算出できない.そのため動脈採血という侵襲的な行為で動脈中の濃度を正確に求めている.動脈採血をしない代替として,内頚動脈の時間濃度曲線を画像データから作製し入力関数(動脈血中の経時的濃度変化)とする研究も報告されている.しかしこれらの値は装置性能や撮像条件等で過小評価される.これを正確に補正するためには,それぞれの条件毎に真値と計測された値を比較する必要がある.今回,入力関数を再現したファントムの作製に成功した.このファントムはトレーサを封入して撮像することができる.今回の検討はフレーム収集時間とした.ファントムには放射能濃度3.0 MBq/mLのフッ素18を封入し,PET/CT装置SIEMENS Biographにて撮像した.フレーム収集時間を2秒から60秒まで変化させることで,フレーム収集時間と濃度過小評価との関係を表すテーブルを得ることができた.このテーブルが示すグラフは不連続であった.フレーム収集時間12秒で14%,34秒で45%過小評価されていた.このテーブルを使用することで入力関数の過小評価を補正することが可能となった. また別実験として,ファントムに水を封入し超音波診断装置SONIMAGE P3にて撮影した.ファントムの横断断層内における水を観察でき,今後超音波検査にも応用できることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
撮像条件と濃度過小評価との関係を表すテーブルを得ることができ,このテーブルを使用することで入力関数の過小評価を補正することが可能となったからである.
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Strategy for Future Research Activity |
ファントムで得られた画像を基に,空間分解能劣化による過小評価を補正する方法を検討する.このことで,時間方向のなまりは本成果であられたテーブルによる補正で達成し,それに加えて空間方向のなまりを補正することが可能となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収支状況報告書の次年度使用額が16,915円存在する.これは,おおむね計画どおりに遂行できていると言える.当該年度は計画どおり実行でき,かつ成果を得ることもできた.また研究計画自体に変更はなかった. 定量性障害の除去,処理技術の確立,成果の総括をおこなうが,未使用額16,915円は次年度の研究費と合わせて,国内旅費や消耗品に充当する予定である.
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