2013 Fiscal Year Research-status Report
世界的所得分配の不平等・貧困度・相対的剥奪に関する計量分析
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23610005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 建夫 岡山大学, 社会文化科学研究科, 名誉教授 (00150889)
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Keywords | 所得分布 / 不平等 / 貧困度 / 世界的所得分配 / グローバリゼーション / 所得格差 / ローレンツ曲線 / 相対的剥奪 |
Research Abstract |
本研究課題の推進には、各国の所得分布データの他に、適切な手法により共通貨幣単位に換算された各国の国内所得データが必要とされる。本課題には購買力平価換算が適切であるが、一口に購買力平価と言っても、計測は単純ではなく、どのデータセットを用いるかにより計測結果が少なからず左右される。特に本年度は、購買力平価換算による世界各国の所得水準の時系列データとして重要なpenn world tableの最新改訂版が公開されたことや、世界銀行の国際比較プログラムの2011年ラウンドの研究が逐次進展するなど、国際研究機関が公表するデータセットの大きな改訂が行われた。信頼できる最新の計測結果に依拠した研究とするために、本年度は予定を変更し、これらデータの再検討に研究エフォートを注いだ。他方、経済的厚生や不平等の観点から異なった所得分布を比較するための計測手法についても基礎研究を継続した。平均所得に依存して中間的価値判断のパラメータが変化し得るようなより柔軟な不平等概念について論文にまとめ改訂を続けているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中に、これまで蓄積したデータをもとに実証分析を実施し、研究を完成させる予定であったが、学会における統計データの直近の研究動向水準に照らして意義ある研究成果に到達するためには、更なるデータの蓄積・再検討の必要が生じたため、当初計画を変更し、データの再検討に本年度はエフォートを費やした。しかし、実証研究に必要なコンピュータプログラミング等の準備は整えてきたので、総合すれば、上記区分の自己評価が妥当かと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに蓄積したデータを用いて、1970年代以降2010年までの世界的所得分配の推移に関する実証研究(世界的規模で見た所得不平等と貧困度はどのように推移してきたのか、変化の要因はどのような点に求められるか、等)を次年度中にまとめて、論文執筆を積極的に行ってゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に、これまで蓄積したデータをもとに実証分析を実施し、研究を完成させる予定であったが、学会における世界各国の世帯所得統計データの直近の研究動向水準に照らして意義ある研究成果に到達するためには、更なるデータの蓄積と再検討の必要が生じたため、計画を変更し、本年度はこれらデータの再検討と所得分布測定分析手法の解析を継続したため、未使用額が発生した。 世帯所得統計データの整備を進め、所得分布計測の分析手法の解析を進展を図るとともに、その成果に基づいた世界的所得分布の不平等と貧困度の推移に関する実証分析と成果報告を平成26年度に行うこととし、未使用額は延長された補助事業推進の経費に充てる。具体的には、コンピュータプログラミングソフトウエアの更新・追加購入等計測環境の整備、当該研究関連専門書の購入、資料収集及び学会・研究会旅費に充てる予定である。
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