2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢受刑者の「生活世界」と、出所後のかれらの自立プロセスに関する実証的研究
Project/Area Number |
23610008
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
細井 洋子 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (80073633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰野 文理 国士舘大学, 法学部, 教授 (60285749)
小柳 武 常磐大学, 国際被害者学研究所, 教授 (90576216)
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (50440194)
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 准教授 (20406234)
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (80400472)
渡辺 芳 東洋大学, 人間科学総合研究所, 講師(Lecture) (70459832)
西村 春夫 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60228228)
鴨志田 康弘 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60408979)
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Keywords | 高齢犯罪者 / 高齢受刑者 / 生活世界 / 国際情報交換 ニュージーランド / 日本とニュージーランドの比較 / 高齢受刑者の出所後の支援 / 高齢受刑者の立ち直り / 自省的市民参加 |
Research Abstract |
本研究は、深刻化する「65歳以上の高齢犯罪者の問題」に対して、従来の福祉的・司法的な対応の限界に目を向け、高齢者の「人間としての尊厳」に注目し21世紀に向けた対応を探るために、社会学を中心に周辺の諸科学の英知を集めた総合的な営みである。具体的には、「高齢者の生活世界」をキーワードとし、高齢受刑者の成育歴の上に、かれらの事象への主体的な理解を重ね、その中に「犯罪」という出来事をどのように捉えているかについて実証的に明らかにした。 調査は56庁の刑務所に受刑中の高齢者(男600名、女100名)を抽出し635名の有効回答を得た。その際に、比較のために、一つは日本の一般の高齢者1,000名を対象に調査を行い、二つは、日本と同様な課題を持つニュージーランドの高齢受刑者(62名)を対象に、同一の調査票(英語版)を用いて実施した。 分析はまだ途中であるが、現段階で、以下の点が明らかになった。日本の受刑者について、自己認識を中心に、複数の統計処理を行ったところ、「人間関係の強弱」と「人や社会に対する信頼感」の 2軸が抽出されクラスター分析により4群が設定された。4群については、再度個別のデータを当てはめたところ、第1群(「安定型」全体の15%)は、配偶者、家族、仕事、経済、住居などにおいて相対的に安定し、一般高齢者と近い。第2群(「自立志向型」30%)は第1群に近いが、経済、家族、住居などの条件は必ずしも良くない。第3群(「他者依存型」21%)は女性が多い。入所前は家族との同居者が多く、出所後も「他者への依存」を求めている。第4群(「不安定型」31%)は、4つの群の中で生活は最も不安定であり、これまでも生活保護などの社会福祉の援助を受けており、出所後は地域生活定着支援センターなどの公的な支援を受けることになる。 4つの群に対しては、各々に、自立を促すための支援のあり方は異なるものと考える。
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Research Products
(1 results)