2012 Fiscal Year Research-status Report
振動刺激による血管新生の基礎的・臨床的検討―心地よい振動がなぜ創傷を治すのか?
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23612001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 敬 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00359613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲上 豪二朗 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70547827)
峰松 健夫 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00398752)
森 武俊 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20272586)
赤瀬 智子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50276630)
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Keywords | 振動 / 褥瘡 / 糖尿病性足潰瘍 / 低酸素 |
Research Abstract |
1.ラット深部組織損傷型褥瘡モデルの治癒に対する振動刺激の影響の分子レベルの検討 深部組織損傷型褥瘡(Deep Tissue Injury, DTI)とは、外力による皮下脂肪・筋肉などの深部組織の損傷に由来する褥瘡であり、初期には軽度褥瘡の様相を呈する物の急速に深部組織に達する深い褥瘡に発達する、臨床ではその重症化の予防が重要な課題である。本研究では、まず深い褥瘡に発展する(潰瘍化する)DTIモデル動物の作製を試みた。従来の褥瘡モデルラット(Sugama et al. 2005)を元に、有限要素法によるシュミレーションおよび動物実験により、初めて潰瘍化を伴うDTIモデルラットを確立した(Sari et al. In press)。更に、本モデルラットに47Hzの振動を毎日15分ずつ与えたところ、潰瘍かは著しく抑制され、振動によるDTI重症化予防技術としての応用が期待される。 2.インドネシアでの糖尿病性足潰瘍に対する振動刺激の臨床評価 本研究の連携研究者であるのDr. Suriadiのグループ(インドネシア、Tanjung Pura大学)が、臨床用振動器(リラウェーブ、マツダマイクロニクス)を糖尿病性足潰瘍患者に応用する臨床調査を実施している。本年度は、当初の予定である60名を大きく上回る約80名の調査を終了した。調査は次年度まで継続し、解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験では、新規DTI潰瘍化モデルの確立、振動による潰瘍化予防効果の証明までを終えているが、当初の予定であった振動による血流増加のメカニズムに関する解析が終了していない。既に試料採取まで終了しており、次年度の課題となっている。 臨床調査では、当初H25年度着手としていたが、H24年度までに予定以上の80名の調査を終えている。H25年度には対象者の追加とともに、全体のデータ解析を実施する予定である。 以上を総合的に鑑み、予定より遅れている部分(振動効果のメカニズム解明)はあるものの、臨床応用に向けて着実に研究が進行しており、全体としての進展は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.振動の血流増進効果メカニズムの解明(動物実験) まず、血管内皮マーカーCD31による免疫組織化学により創部組織内の血管数を計測し、血管新生の亢進を証明する。更に血管新生に関わる主な因子(eNOS、VEGF、Angiopoetin-1等)の発現動態を解析する。 2.インドネシアにおける糖尿病性足潰瘍への振動の治癒促進効果 現在調査期間中の対象者については調査を継続する。ランダム化比較試験として振動器の治癒促進効果を治癒期間などをパラメータに解析すると共に、治癒促進に関連のある要因の探索などを行い、振動器を使用した治癒促進技術の改善を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.振動の血流増進効果メカニズムの解明 すでに動物実験は終了しているため、資料の解析に必要な実験試薬、消耗品等の購入が必要である。免疫組織化学用の抗体・キット・消耗品、RT-PCR用の試薬・消耗品、の他、一般試薬の購入を予定している。 2.インドネシアにおける糖尿病性足潰瘍への振動の治癒促進効果 インドネシアにおける調査にかかる費用は連携研究者であるDr,Suriadiが負うこととなっており、当該研究費からの支出の予定はない。 また、上記研究成果の公表(学会発表、論文投稿の際の英文校正や投稿料)などの支出を予定している。
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Research Products
(3 results)