2012 Fiscal Year Research-status Report
観光地再生のための発展モデルの構築に関する学際的研究
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23614006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
十代田 朗 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70226710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津々見 崇 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40323828)
羽生 冬佳 立教大学, 観光学部, 准教授 (40302971)
佐野 浩祥 立教大学, 観光学部, 助教 (50449310)
山崎 隆之 長野大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30447552)
直井 岳人 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10341075)
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Keywords | 町並み観光地 / 旅行雑誌 / 発展過程 |
Research Abstract |
9. 研究実績の概要 本研究は、観光地の発展過程をモデル化することを最終的な目的としている。具体的には、わが国の主な観光地を対象に、その誕生から現在に至るまでの発展過程を追いかけ、さらに段階の移行の外的・内的要因(マーケット側、地域側)を探ることで、観光地の発展モデルを構築する。 今年度は、昨年度に続き、国内の町並型観光地を対象に、マーケティング、地域づくり両分野の視点から、観光地としての発展過程を明らかにすることを目的とした。研究手法としては、時系列に観光地の発展過程を辿る史的アプローチを採用している。今年度の研究成果は大きく2つに分かれる。 一つめは、町並み観光地における魅力要素と地域特性との関連を全国的、総括的に行った研究である。1960年代以降現在まで国内旅行雑誌『旅』『旅行読売』『旅の手帖』の3誌に掲載された町並み観光地に関する記述を抽出・分類し、その魅力要素を類型化するとともに、町並み観光地の地域特性との関連をみた。そして記述の掲載回数が異なる2地域の比較を通じて、町並み観光地として認知されるための示唆を考察した。 二つめは、旅行雑誌に顕著に見られる歴史的町並みの要素の抽出とその時系列的変遷を追った研究である。国内旅行雑誌『旅』『旅の手帖』の2誌に1965年以降掲載された、高山市と倉敷市の古い町並みに関する旅行雑誌記事の頻出語、語間の関係性、語と時代との関係性を、テキストマイニングソフトウエアを用いて分析した。そして、頻出語の共起率を分析した結果、高山に関する記事では、「歩く、朝市、家、入る」、「人、現代、過去」、「料理、味、食べる」という語、倉敷では「伝建地区、町、白壁、歩く、旅館、博物館」という語が近接しており、両町並みが、歴史的事物としてだけではなく、人間の活動との関連や、その中を歩くという行為との関係の中で描かれていることとが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
わが国全体の観光動向や志向の変化に関する統計等、主にマーケット関係資料に関する収集分析が遅れている。 また、温泉地・リゾート地に関する現地調査や資料収集に関して、熱海と別府と英国・ブラックプールを予定していたが、ある程度分析まで行ったのは熱海に関してのみである。ブラックプールに関しては現地調査と資料収集は済んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、25年度は、研究の背景となるわが国全体の観光動向や志向の変化に関する統計等、主にマーケット関係資料に関する収集分析を早急に進める。その後、温泉地を対象に、観光地としての発展過程に関する資料を収集分析する。25年度もほぼ24年度と同様の手法で、わが国の観光地の中でも特に衰退が激しく再生が地域課題となっている温泉地またはリゾート地を中心に調査分析する。研究対象地は、引き続き、熱海、別府、ブラックプールの国内外3カ所を予定している。また、南ドイツの温泉保養地との比較研究も視野に入れている。 さらに最終年度なので、町並型、温泉地別の外的・内的要因の特殊性、及びマーケティングやブランディング力やその方向性を考慮しながら、モデルの統合化を図り、汎用性のある発展モデルの構築、まちづくり手法の開発を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の執行額に残額が生じたのは、研究の背景となるわが国全体の観光動向や志向の変化に関する統計等、主にマーケット関係資料に関する収集分析が遅れたためである。また、別府など対象地での現地調査や資料収集もまだ不足している。主な研究費の使用はこの2つに係るものを予定している。
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Research Products
(2 results)