2012 Fiscal Year Research-status Report
都市と農山村の協働推進に資するCSR活動の意義とその発展方策に関する研究
Project/Area Number |
23614009
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤田 武弘 和歌山大学, 観光学部, 教授 (70244663)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 由美 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (80252279)
大西 敏夫 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90233212)
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
李 只香 九州共立大学, 経済学部, 教授 (80309731)
八島 雄士 九州共立大学, 経済学部, 准教授 (00320127)
|
Keywords | 都市農村交流(韓国) / 企業CSR(韓国) / コミュニティビジネス(韓国) |
Research Abstract |
前年度実施した和歌山県「企業の森」事業への参加企業に対するアンケート調査結果を踏まえて,類型区分された企業群からサンプル抽出し,当該事業に関わるステークホルダーへのインテンシブなヒアリング調査を実施した。その結果,受入実績の豊富な農山村地域の側においては,インストラクター等の地域需要喚起効果(森林組合「緑の雇用」事業による雇用者向けの仕事創出),経済波及効果(弁当・食材調達に伴う地元業者利用など)等が確認された。ただし,その一方では,作業やイベントに参加する企業社員の現地滞在時間が必ずしも充分ではなく,なかには更なる交流を望む声も聞かれることから,森林とのかかわりを近郷の農村にまで拡げることにより,現地での滞在時間を増やし,農作業体験や農家民泊などを通じて交流の質を高めるための関係者の工夫がより一層求められることが明らかとなった。 農山村での企業CSR活動の先進事例である韓国の「一社一村」運動は,政権の帰趨に左右されることなく,社会における一定の理解と共感を拡げつつある。そのなかで,韓国農協中央会・農村サラン運動国民本部が仲介する提携のみならず,地域が主体的に地域資源を活用したコミュニティビジネスを立ち上げ,自らの必要性に応じた企業を選択し提携するというような事例も生まれていることは注目に値する。その際,行政と地域(住民)とを繋ぐ「中間支援組織」の存在が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。これは,広域合併によって,ますます地域課題を身近に感じることが困難となりつつある日本の行政と地域との協働の在り方を模索する上でも極めて示唆に富む動きである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「企業の森」ステークホルダーに対するインテンシブな調査の実現は,行政・森林組合・地域住民・参加企業(事務局)から,アンケート調査時と同様に(報告書の取りまとめや現地報告会の開催等により研究成果の現地還元を積極的に実施していることと同様に)十分な理解と協力が得られていることができたことが大きい。 また,韓国「一社一村」運動と内発的コミュにティビジネスに関する補足調査の実施および新たな動向とフォローアップ研究の進捗については,現地カウンターパートである建国大学の金才賢教授の協力体制が全面的に得られていることが大きい。
|
Strategy for Future Research Activity |
「企業の森」の全国的な動向に関する補足調査(国土緑化推進機構),和歌山県「企業の森」に関するアンケート及びヒアリング調査結果の取りまとめと検討,韓国「一社一村」運動の到達点と内発的コミュニティビジネス創造に関わる補足調査(全羅北道・全州市)を実施する。あわせて,3年間の研究総括と成果報告にあり方に関する検討会を開催する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内旅費(東京「国土緑化推進機構」,長野「信濃町」,和歌山「企業の森」関連ステークホルダー)。海外旅費(韓国・全羅北道全州市完州郡など)。研究会開催費(和歌山大学)。
|