2013 Fiscal Year Research-status Report
観光資源を利用したパーキンソン病の人のリハビリテーション効果についての研究
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23614029
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
赤松 智子 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (80283662)
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Keywords | 観光学 / リハビリテーション / ヘルスツーリズム / パーキンソン病 / QOL / 余暇活動 / 京都 / 社会心理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、パーキンソン病(Parkinson's disease;以下PD)の人の健康状態および生活の質(Quality of life;以下QOL)の維持向上を図るため、観光資源の活用と有効性について科学的根拠を提示することである。 研究期間の3年目にあたる平成25年度は、これまでに得られたデータ解析を主に行った。 京都市内の観光資源を利用したヘルスツーリズムでは、PDの人が訪問してみたいと希望した観光地の特徴は、行ったことがない場所や想い出の地であること、自宅から近いといった理由であった。家族や介護者と同伴で観光地訪問を実施した人は、その後の生活において、外出頻度の増加や遠出、小旅行などの機会が増える傾向がみられた。観光地訪問前後の変化では、イメージ歩行所要時間の短縮と注意遂行機能の向上が認められ、精神心理機能では、抑うつ気分が軽減していた。観光地訪問当日の開始前後では、満足感が増加していた。QOLでは、可動性、日常生活活動、情緒的健康、羞恥心、認知、コミュニケーションの要素において改善が認められた。また、活動量の変化では、観光地訪問当日の歩数や活動量は、日常に比べて増加(p<0.05)しており、観光地訪問により活動量は増加していた。 1泊2日のカニツアーを利用した場合は、多くの参加者が、気晴らしになり、また行きたい、リハビリになった、身体のことを考える機会になったと回答していた。イメージ歩行所要時間の短縮が認められ、満足感が増加していた。QOLでは、可動性、日常生活活動、羞恥心、認知、コミュニケーションに改善が認められた。また、観光当日の歩数や活動量は、日常に比べて増加(p<0.01)し、観光地訪問により活動性が増加していた。 PDの人が希望する観光資源を利用したヘルスツーリズムは、PDの人の脳の神経回路に、何らかのプラスの影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、観光資源を利用したヘルスツーリズムが、PDの人のリハビリテーションとしての有効性について検証することであった。 PDの人のリハビリテーションとして、個別プログラムには、セラピストと本人および家族や介護者同伴で、各人が希望する京都の観光地を訪問した。それらの内容を解析し、研究発表を行った。集団プログラムには、1泊2日のカニツアーを企画し、参加者を募集して、本人と家族および介護者と研究協力者同伴で実施した。そのツアーの内容を解析して、研究発表を行った。 また、ヘルスツーリズムを行っている地域を訪ね、視察体験を通して、本研究内容の発展につながる知見を得た。 観光資源の活用によるリハビリテーションとしての有効性について、科学的根拠を提示するための方法として、f-MRIを利用した生体内(脳機能)測定について、連携研究者と検討を開始した。 以上の実施状況から、研究目的の達成度については、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、以下の5項目を予定している。 1.本年度までに得られた種々の情報やデータを整理分類し、ヘルスツーリズムの観点から質的および量的に分析を行う。 2.本研究に対して協力が得られるPDの人に対して、同様の方法で実施し、さらに事例数を増やし、得られた観光行為に関する情報の分析を行う。 3.現地調査を行った観光地についての情報を整理し、公開できる内容の検討と試作を開始する。 4.PDの人に対するリハビリテーションの手段としてヘルスツーリズムを利用するにあたり、実際にヘルスツーリズムを行っている場所や地域を視察し、参考となる情報や事例を収集する。 5.観光資源の活用によるヘルスツーリズムを利用したリハビリテーションが、PDの人の脳の神経回路に何らかの影響を与えているか否かを確認するため、f-MRIを用いたPDの人の生体内(脳機能)変化の測定方法を検討し、施行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究が採択された際には、研究開始2年目の平成24年度に生体機能測定のための備品(アクティブトレーサーシステム:単価1865000円)の購入を予定していたが、研究遂行上、適切でないと判断し購入しておらず、未使用金として本年度に使用する予定であった。 本年度は、研究開始3年目にあたることから、これまでに得た情報やデータの解析作業を主に行い、研究成果を発表し、今後の研究方針や内容について見直しを行ったことから、本年度において未使用金が生じた。平成25年度未使用金は、次年度以降の研究内容をより発展させるため、次年度の研究費として使用する予定である。 物品費には、観光資源を活用したリハビリテーション実施前後の生体機能の変化を測定するため、自律神経機能の活動を測定する携帯型機器を購入する。観光資源を利用したリハビリテーションプログラム作成とヘルスツーリズムの知見について、参考となる国内外の資料や文献、関連図書を購入する。 旅費には、京都市内および市外在住者に対して調査を行うための交通費が必要となる。これまでに得られた結果を国内外の学会で発表するための旅費が必要となる。ヘルスツーリズムを行っている場所や地域を視察し、参考となる情報や事例を収集するために必要となる。 人件費・謝金には、被験者と研究協力者に対して謝金を支払う。自律神経機能の活動やf-MRIを利用した生体内(脳機能)変化の測定機器の使用料。脳機能解析については、高度の専門的知識や技術が必要であるため、専門的知識の提供者に対して謝金を支払う。
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Research Products
(4 results)