2012 Fiscal Year Research-status Report
一次代謝産物S-アデノシルメチオニン生合成経路によるトランスポゾンの発現調節
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23616007
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
吉川 学 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (80391564)
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Keywords | エピジェネティク制御 / メチオニン代謝 |
Research Abstract |
エピジェネティク制御では、DNAやヒストン、siRNAなどへのメチル基修飾が重要な役割を果たす。それらのメチル化には、S-アデノシルメチオニン(SAM)がメチル基供与体の基質として使われるが、これまでのエピジェネティク制御に関する研究からは、SAMがエピジェネティク制御にどの様に関わっているかは明らかになっていない。DNA型トランスポゾンMRU1は、SAM代謝異常変異体mto1やhog1に加え、ddm1などのエピジェネティク制御変異体でも転写活性化が起こることから、SAM代謝とエピジェネティクスの両方の制御を受けていると考えられる。そこで本研究ではMRU1を主な指標に、SAMの代謝がエピジェネティク制御の関わりを解明することを目的にする。 固体培地にSAMを添加して、MRU1の発現解析を行ったところ、100μg/mlの濃度ではMRU1の発現の増加が見られたが、それ以下の濃度では増加は見られなかった。トータルRNAに対して、MRU1をプローブにしたノーザン解析によって得られるシグナルは、不鮮明であった。このことからMRU1領域からの転写産物にいくつかのバリエーションがあることが考えられた。そこで、これらの転写産物にポリA鎖が付加しているかをポリA精製したRNAを使ってノーザン解析を行った。その結果、トータルRNA同様に、不鮮明であった。このことから、いずれの転写産物もポリA鎖を持っていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請研究以外の分担研究分に関する論文について、投稿から受理に至るまで、大部分の労力を割いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作製したメチオニン代謝異常変異体とDNAのメチル化経路または、維持型のDNAメチル化経路を組み合わせた二重変異体について、MRU1やその他のトランスポゾンの発現を調べる。また、昨年度見出したMRU1領域由来のポリA鎖が付加した転写産物について、5'RACE及び3'RACEを行い、転写開始点、スプライシング部位、転写終結領域など同定し、メチオニン代謝異常変異体またはエピジェネティク制御の変異体でどのような転写が起こっているかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用する試薬をキャンペーン期間中に購入したために、残額が生じた。 残額は、25年度に消耗品費として使用する予定である。
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