2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650122
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
上椙 真之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 月・惑星探査プログラムグループ, プロジェクト研究員 (20426521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上椙 英之 神戸学院大学, 人文学部, 研究員 (50600409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 石像遺物 / デジタルアーカイブ / 移動光源連続データ / 動的データベース |
Research Abstract |
【データの取得のための光源移動用カメラステージ作成】(上椙真之・上椙英之)この課題に対し、本年度、デジタルカメラを使用し、石像遺物の文字情報を対象を非破壊・非汚染のままで取得するための装置を作成した。カメラに対する光源の位相角を容易に決定でき、フィールドワークの際の携帯性を高め、さらに狭い場所での撮影にも対応するため、装置を小型化した。【撮影機構の開発と撮影実験】(上椙英之・多仁照廣)実際のフィールドワークにおいてのテストを行い解析に十分なSNを持った連続データを取得することに成功した。装置自体の改良は殆ど行っていないが、現時点では十分な精度を持っていると考えられる。【データ解析のためのツール開発】(上椙真之)上記の撮影手法によって取得した画像データから、表面文字情報を抽出するための解析ツールの開発を行った。位相角の絶対値が同じ対称点から、疑似視差画像を合成する。次に位相角の絶対値の違う、複数の疑似視差画像の差分をとり、凹凸データを取得する。この一連の操作を半自動で行うためのプログラムを開発し、コマンドラインからの実行を可能にした。これらのプログラムは今後開発予定のデータベースに動的処理プログラムとして組み込まれる予定である。また、画像処理・データ解析の信頼性をあげるため、岩石鉱物の色模様と光源による陰をより高精度で識別できる手法開発をおこなった。まず、岩石物質の形状と組成分布を高精度X線CTをもちいて同時に観察した。この結果得られた3次元データを元に、プログラム上で光源の位置を移動させ、鉱物による色模様と光源による陰をシミュレートし、陰のみを抽出してクラスタ化できるアルゴリズムの開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初今年度内で予定していた開発要素をほぼ完全に達成することができた。その上で浮上してきた、画像処理の精度が足りないなどの問題点を整理し、解決するための方策を検討することも行った。さらに、より精度を上げるための新しいシミュレーションにも着手しており、これらは当初は予定していなかった内容である。シミュレーションの結果は次年度以降の成果をより高い精度で実現することに役立つことが期待されるため、当初の計画以上の進捗状況であることは間違いない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、完成したデバイスを用いてのデータ取得をメインで行う。すでにある程度のデータを取得し、画像解析およびアーカイブの準備を行っているが、デジタルデータの信頼性をあげる必要があり、さらに石像遺物のデータを用いて統計的に議論するにはまだデータ量は圧倒的に不足している。このため、フィールドワークを数多く行い、必要なデータを取得するまた、データのアーカイブを行うためのデータベースシステムの開発を行う。本年度開発した画像処理プログラムを取り入れ、動的にデータ処理を行いながらデータの抽出を行うことができるシステムを開発する。さらに、画像処理プログラムの精度を上げるためのシミュレーションを行う。これはX線CTによって得られたデータを用い、陰影処理と鉱物の色模様をソフトウェア上で再現し、高い精度でこれらを分離するためのアルゴリズム開発に用いるためである。これまでのところ予備的なデータは得られているが、今後予備実験の結果を基に、いくつかの模擬試料データを取得する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大量のデータを取得し、一気に処理する必要があることが予想される。従って大容量のストレージと、それを高速に処理できるインターフェースを備えたPCが必須である。また、データを取得するためのフィールドワークも昨年度以上に多く行う。また、画像処理の精度を上げるためのシミュレーションに必要なデータ取得を行う。X線CTによる岩石物質の三次元形状および組成データを取得し、文字情報のみを抽出するためのアルゴリズムを作成するためのテストデータとする。
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