2011 Fiscal Year Research-status Report
電位依存性ホスファターゼに基づく膜タンパク質電位作動性のスクリーニング
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23650210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡村 康司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80201987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 善史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90435818)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イオンチャネル / ホスファターゼ / 神経細胞 / 電位センサー |
Research Abstract |
普遍的な膜タンパクの電位依存性スクリーニングに適するホスファターゼ構造を明らかにするため、電位センサーのC末端側に、ヒトPTEN様ホスファターゼ領域を融合させたキメラを作成し、酵素活性を膜電位依存的に変化されられるかを検討した。発現系細胞においてPLC-delta-PHドメイン-GFP融合分子またはOSBP-1-PHドメイン-GFP融合分子と共発現させたところ、脱分極に伴う変化を認めたものの、その変化は微弱であった。PTENとVSPの基質結合ポケットの異なるアミノ酸配列を変更し、PTENがPI(4,5)P2を脱リン酸化できるように変更することを試みたところ、この特性は変化しなかった。これらのことから、電位依存的な活性を酵素変化として検出するには、現在明らかになっているVSPの細胞内領域を用いることが最適であることが確認された。更に、VSPの酵素領域のどの領域に、電位依存的調節を仲介する構造が存在するかを明らかにすることでプローブモジュールを最適化できることを期待し、PTENとVSPとのキメラ分子を作成し、電位依存的な活性の比較を行った。これには、昨年度ターゲットタンパク研究プロジェクトで蛋白質研究所中川研究室と共同で解明した細胞内領域のX線結晶構造を元にして、PTENと構造が異なる部位に注目することで解析を行った。蛋白質研究所中川研究室と共同で、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて各キメラ分子の解析を電気生理学的に行い、C2ドメインに、電位依存的活性をチューニングする部位が存在することを見出した。更に、C2ドメインに様々な部位の変異導入を行った結果、C2ドメインのループ構造を構築する部位の基部においてアミノ酸変異させることにより酵素活性を正常の酵素よりも増加させることに成功した。電位センサーの可動量と、酵素活性の関係を、イメージング実験と数値計算を組み合わせて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
普遍的な膜タンパクの電位依存性を定量的に探索するためのホスホイノシチド・ホスファターゼとして、これまで明らかになっているVSPの細胞内領域が最適であることが確認された。PTENとVSPとのキメラ分子を作成し、電位依存的な活性を検出することに成功した。また阪大蛋白質研究所中川敦史教授との共同研究により得られた細胞内領域のX線結晶構造を元にして、アミノ酸の変異導入を行い、基質特異性を改変したり、酵素活性を向上させることに成功した。膜電位刺激時の酵素活性を、イメージング実験と数値計算を組み合わせることで定量することに成功した。今回得られた知見は今後電位依存性を検出する手法へ発展する上で重要な基盤となる知見であり、本研究の目標に向けて順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
VSPの動作原理に基づくデザインに向けて、VSPの細胞内領域、リンカー部分に変異を導入し、最適化を行う。とくにC2ドメインの知見に基づいた変異導入などを試みる。VSP以外の膜タンパクとの融合蛋白を作成し、膜電位依存性の検出が可能かを検討していく。膜貫通セグメントS1のN末端側の細胞内領域が膜電位センサーの構造変化に伴って動きを生じるかどうかを、蛍光蛋白との融合蛋白を作成し、検討する。また、膜電位のレベルに応じて、基質特異性が変化することを示唆する知見が得られており、その分子機構に着目した解析も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分子改変実験と発現系細胞での機能解析を行うため、分子生物学試薬、生理実験試薬、抗生物質、プラスチックチューブ、アフリカツメガエル、飼料などを購入する。データを解析するためのDVDなどの消耗品や、パソコン関係の部品を購入する。また、学会参加や、情報を入手するための旅費として使う予定である。
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Research Products
(40 results)