2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ球の初期Ca2+応答パターンから細胞運命を予測する
Project/Area Number |
23650258
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 達 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00263096)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 綾子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00378704)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | リンパ球 / カルシウム / 抗原受容体 / 細胞死 |
Research Abstract |
リンパ球の細胞膜抗原受容体に抗原が結合すると、種々のシグナル伝達系が惹起され、リンパ球活性化またはアポトーシス等の細胞反応が起こるが、それは質的・量的に細胞毎に大きく異なる。一方、抗原受容体刺激直後から細胞質Ca2+が持続的かつ振動的に増加するが、Ca2+応答パターンも細胞毎に異なり、その後の細胞運命との量的・質的関係は明らかでない。本研究では、抗原受容体刺激後のCa2+応答とその後の細胞運命(アポトーシス、増殖、不応答)を多数の細胞から取得して数値化・パターン化して、因果関係を統計的手法と数理モデルから解析することで、個々の細胞運命を予測可能なCa2+応答パラメターを抽出することを目的とする。平成23年度は、Ramos B細胞、A20B細胞、DT40B細胞とJurkat T細胞において、Ca蛍光色素(Fluo-4またはFura-2)を負荷し、顕微鏡下に細胞膜抗原受容体刺激後のCa応答を細胞毎に記録して、データベースを作成した。死細胞・アポトーシス細胞を検出するために、pSIVA(IMGENEX)を培養液に添加し、アポトーシス初期に起こるフォスファティディルセリンの細胞膜外側への移行と死細胞を検出するシステムを確立することができた。Cameleon D1ERを用いた小胞体Ca2+測定システム及び、TMREを用いたミトコンドリア膜電位測定のシステムも完成した。蛍光情報は、画像解析ソフトAquacosmosを用いて数値化し、SPSSとSigmaplotを用いて統計解析・グラフ化を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光色素、蛍光蛋白を用いた細胞質Ca、アポトーシス、細胞死、ミトコンドリア膜電位、小胞体Ca記録を約1時間に渡り安定して記録できるシステムが完成し、Ca応答の数値化・パターン化が進行しているので、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
Ca蛍光色素を用いた細胞内Ca記録は、色素の漏出のため、60分程度が限度であった。より長く細胞質Ca動態を記録するために、リンパ球にCaセンサー蛋白(Case12, evrogen社)を発現させ、より長期間(数時間~数日)の細胞質Ca記録を試みる。前年度に蓄積されたデータから始めて、多変量解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験のための試薬や消耗品、統計処理のためのソフトの購入に使う予定である。
|