2012 Fiscal Year Research-status Report
光スイッチング分子のナノカプセル化と細胞導入による細胞活動の光制御系の実現
Project/Area Number |
23650259
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
馬籠 信之 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70390052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アグラゼ コンスタンチン 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (30503651)
ORLOVA Yuliya 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (90571901)
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Keywords | 心筋細胞 / 光スイッチング / ナノ粒子 / 細胞導入 / 光制御 / アゾ化合物 / HDL / 金ナノロッド |
Research Abstract |
本申請課題においては、光応答性分子を細胞内に導入し、細胞活動を光照射によって制御することを目的とする。申請者らは、すでに心筋細胞のような興奮性を示す生体細胞において、光感受性物質を細胞外液に混在させておくことにより、照射する光の波長に依存 して細胞活動に差異が生じることを見出している。この系を発展させ、光応答性物質を封入したナノサイズの微粒子を作成し、細胞内部に導入した後に光応答性物質を細胞内に放出させ、外部からの光照射によって、細胞活動を内部から制御することを試みる。 当該年度においては、HDL(High-density lipoprotein)を用いた細動導入の他、新たな材料として、金ナノロッドを用いる手法の検討を行った。現在、光感受性物質のナノ粒子への吸着性と安定性を確認していることろであり、条件が整い次第、細胞への導入効率の検証を行う。この系においては、レーザーを照射することによって、ナノロッドに吸着した薬剤を細胞内へ放出することが可能であることが示されており、本申請課題で提案する「細胞内からの活動の制御」が実現しやすくなることが期待される。 また、用いている光感受性物質の細胞膜への効果を確認した結果、細胞膜の透過性が、照射する光によって可逆的に変化していると考えられる結果も得られた。細胞膜が柔らかくなることで細胞外からの細胞内への導入効率が増大し、照射光を変えることで状態が回復することから、効率的な細胞導入手法の開発へと応用が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
途中で研究代表者の異動があり、実験系のセットアップに時間と予算を要した。 研究は、昨年度に引き続き、光スイッチング分子の細胞導入方法の検討を行った。この過程で、新たなナノ粒子を用いることで、より効率的な細胞取り込みと細胞内での物質放出が可能であるとの情報提供を受け、研究内容の質的向上を目指し、現在検討を進めている。 これらのことから、研究申請時の予定期間を延長して研究を進めていることから、「やや遅れている」と評価する。しかしながら、結果として申請書に記載した「目標とする手法の開発と想定される結果」に近づき、また、この過程で細胞膜構造に関する新たな知見が得られるなど、予想外の結果も得られた。このため、総合的には、研究そのものは最終目標に向かって着実に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、使用する物質の追加を急遽行った。このため、この物質を中心に研究を進め、できるだけ早い時期に研究を完成させたい。 まず、光感受性物質の吸着性と安定性を調べた後、細胞と共存させることによる細胞内への取り込み、ならびに、細胞への影響について確認する。また、当該物質を用いることで、外部からのレーザー照射によって吸着薬剤が効果的に放出されることが分かっているため、本研究においても、レーザー照射による光感受性物質の放出を試みる。この後、これまでの研究の通り、紫外線と可視光線の照射を切り替えることにより、心筋細胞の収縮活動を非接触で行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
期間延長申請を行い、約23万円を次年度に繰り越した。 次年度は、光スイッチング分子の、金ナノロッドへの吸着性や安定性、さらに細胞と共存させることによるエンドサイトシスについて検証する。このため、実験用ラットや細胞培地等の消耗品として約16万円、研究打ち合わせのための旅費として約5万円、資料送料として約2万円として計画している。
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