2011 Fiscal Year Research-status Report
発達障害児のコミュニケーション支援をめざした認知状態モニタリングシステム
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23650267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊良皆 啓治 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20211758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 幸弘 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (30352199)
井手 順子 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (20289507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 無線脳波計 / 無線NIRS / 非拘束計測 / 加速度センサ / 角速度センサ / 心電図 |
Research Abstract |
本研究は、発達障害や知的障害などで周囲とのコミュニケーションが難しい児童が、学校活動や各種社会活動、さらには家庭内での活動の際に,周囲とのコミュニケーションが円滑にいくように、その時々の状態を把握し、その児童の認識状態をリアルタイムでモニタ出来るシステムの研究を行うことが目的である。本年度は、無線小型生体アンプを用いて脳波および心電図の計測、脳の血液状態を近赤外光で測定しデータをブルートゥースで転送するNIRS計測、さらに、手の動き、頭の動きを加速度・角速度で計測するシステムの構築を行った。このシステムを用いて、意識がほとんどない重度心身障害児に対して、脳波と近赤外計測を用いて、呼びかけを行ったときの反応の計測を行った。その結果、名前を伸びかけたとき、好みの音楽を聴いたときに、聴覚野での酸素化ヘモグロビンの増加を観測することができ、また、脳波のデルタ帯域の成分に変化が見られた。本システムにより意識レベルが非常に低い患者の認知状態をモニタリングすることが可能であることを示すことができた。また、聴覚の働きがどの程度残っているか、聴性脳幹反応誘発電位(ABR)を計測し、聴覚の残存機能と脳血流の変化の関係を調べたが、両者の間には必ずしも強い関係が見られなかった。すなわち、ABRがほとんど見られない患者であっても脳血流の変化見られた場合があったし、逆に、明確にABRが見られるにかかわらず、脳血流の変化が全く見られない患者もいた。この原因に関しては今後の検討を要す。また、脳波、NIRSとは別に、加速度・各速度センサを用い、脳の微細神経徴候を表す前腕の回内回外運動を定量的に評価するシステムの開発を行い、小学生児童の発達曲線を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、無線小型生体アンプを用いて脳波および心電図の計測、脳の血液状態を近赤外光で測定しデータをブルートゥースで転送するNIRS計測、さらに、手の動き、頭の動きを加速度・角速度で計測するシステムの構築を行い、脳波、脳血流、心電図、手の動き、頭の動きを非拘束で測定できるようになり、信号も測定できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、寝たきりの被験者の測定を行っていたが、自由に動き回れる非拘束状態での計測が本来の目的であるため、今後、対象を、動いている状態の子供などにして計測を行っていきたい。その際、脳波やNIRSに動きによるアーチファクトが混入するため、この動きによるアーチファクトと信号との区別をする方法、除去手法等を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は非拘束計測システムの構築をするに、既存の装置を組み合わせることにより、予定していた金額より少なくてすんだ。しかし、NIRSの計測プローブ、脳波電極、フィルタ等に不具合が生じていることがわかり、これら消耗品を新規に購入する必要がある。
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Research Products
(9 results)