2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650317
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 陽一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50193058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海法 康裕 東北大学, 大学病院, 講師 (30447130)
川守田 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00617524)
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Keywords | 前立腺全摘術 / リハビリテーション / PDE5阻害剤 / 尿失禁 / 勃起障害 / 性機能障害 |
Research Abstract |
2002年から昨年までにわれわれが行った365例の前立腺全摘時症例から両側神経温存が術中に電気刺激で確認された141症例を対象として、自己記入式アンケート調査(Expanded Prostate Cancer Index Composite を使用)を術前、術後1,3,6,12,18,24,36,48ヶ月に行い、性機能スコアおよび排尿機能スコアの集計をしたところ、PDE5阻害剤は術後の性機能障害回復に効果があるだけでなく、尿禁制回復においても効果があることがわかり、さらに、中央値である術後3ヶ月を境にそれ以前にPDE5阻害剤内開始した早期群と3ヶ月以降に内服を開始した晩期群を比較したところ、早期群は晩期群よりも性機能・排尿機能の回復が良い傾向にあることが判明した。これらのデータをもとに、さらなる効果を期待して術直後から内服を開始するプロトコールを開始しして、術直後からPDE5阻害剤を内服した群における性機能および排尿機能を解析したところ、排尿機能に関しては、術後一過性ではあるが、有意に尿失禁が悪くなることがわかった。 一方で、ラットを用いてPDE5阻害剤の尿道機能に対する効果の実験を行った。くしゃみ誘発ラット尿失禁モデルを用いて、通常の尿道内圧を示す尿道基線圧とくしゃみなどの急激な腹圧上昇時に反射的に失禁を予防する尿禁制反射の振幅を評価した。尿道基線圧にはPDE5阻害剤投与による変化は観察されなかったが、くしゃみ時に誘発された尿禁制反射に対してPDE5阻害剤は抑制効果をもつ(尿失禁が起こりやすくなる作用を持つ)ことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度行ったこれまでのデータ解析から、性機能のみならず、尿禁制にもPDE5阻害剤内服が作用していることが判明した。しかしながら、PDE5阻害剤を術直後に内服すると将来的な尿失禁の回復には貢献するものの一過性に尿失禁がひどくなることが判明した。平行して施行していたラットを用いた基礎実験では、PDE5阻害剤の尿道機能に対する作用として、くしゃみなどの時に尿漏れを防ぐ反射をPDE5阻害剤が抑制することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの臨床データの解析で、PDE5阻害剤を用いたリハビリテーションは性機能回復や尿禁制回復に有効であることが判明したが、PDE5阻害剤を術直後に内服すると将来的な尿失禁の回復には貢献するものの一過性に尿失禁がひどくなることが判明した。平行で行っているラットを用いた実験では、PDE5阻害剤は平滑筋の緊張による通常の尿道圧には変化を与えないが、くしゃみなどの急な腹圧上昇に対応する尿禁制反射を抑制することがわかった。動物実験の結果は、前立腺全摘術の直後からPDE5阻害剤を内服すると一過性に尿失禁が悪化する現象を説明し得ると考えている。次年度はPDE5阻害剤の最適な投与doseを求めていくとともに、尿失禁が悪化するのであれば術後PDE5阻害剤の最適な内服開始時期を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで当施設にあった既存の実験系に加えて、本研究に必要な主な機材は初年度に購入できているので、物品費はおもに実験ラットに充てる予定である。旅費は国内学会:日本泌尿器科学会(札幌4月)、排尿機能学会(静岡8月)での発表・情報収集のために使うことを予定している。 次年度使用額は、当初計画していた海外学会における発表を次年度に変更したことにより生じたものであり、次年度以降に実施する研究報告に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)