2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650317
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 陽一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50193058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海法 康裕 東北大学, 大学病院, 講師 (30447130)
川守田 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00617524)
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Keywords | 前立腺全摘術 / リハビリテーション / PDE5阻害剤 / 尿失禁 / 勃起障害 / 性機能障害 |
Research Abstract |
前立腺全摘時症例から両側神経温存手技141症例を対象として、自己記入式アンケート調査を術前、術後1,3,6,12,18,24,36ヶ月に行い、性機能スコアおよび排尿機能スコアの集計をした。PDE5阻害剤内服群と非内服群の比較ではPDE5阻害剤は術後の性機能障害回復に効果があるだけでなく、尿禁制回復においても効果があることがわかった。中央値である術後3ヶ月より以前にPDE5阻害剤内開始した早期群と3ヶ月以降に内服の晩期群を比較したところ、早期群は晩期群よりも性機能・排尿機能の回復が良い傾向にあることが判明した。これらのデータをもとに、さらなる効果を期待して術直後から内服を開始するプロトコールを開始し、術直後からPDE5阻害剤を内服した群における性機能および排尿機能を解析したところ、性機能スコアのさらなる改善は認められず、また、排尿機能に関しては、逆に一過性の尿失禁悪化を認めた。 ラットを用いてPDE5阻害剤の尿道機能に対する効果を調べた。くしゃみ誘発ラット尿失禁モデルを用いて、主に平滑筋性尿道括約筋の作用による通常の尿道内圧を示す尿道基線圧と、主に横紋筋性括約筋によるくしゃみ時の急激な腹圧上昇時におきる尿禁制反射の振幅を評価した。尿道基線圧にはPDE5阻害剤投与による変化は観察されなかったが、くしゃみ時に誘発された尿禁制反射に対してPDE5阻害剤は濃度依存性に反射振幅の抑制効果をもつ(PDE5阻害剤によって尿道括約筋の反射が減弱し尿失禁が起こりやすい状態になる)ことが判明した。 以上の基礎実験の結果は、PDE5阻害剤は組織保護作用および線維化防止などにより長期的に術後の性機能・尿禁制機能を保持する作用を持つが、尿禁制反射を弱める作用も併せ持ち、これにより、臨床データでみられた術直後の尿道機能が不安定な時期には一過性の尿失禁悪化を認めると考えられた。
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Research Products
(4 results)