2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650516
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小崎 隆 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (00144345)
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Keywords | 環境教育 / 環境保全 / エコツーリズム / 観光科学 |
Research Abstract |
本研究はエコツアーを体験型環境教育ツールとして利用し、一般市民に対してこれまでの研究成果を平易な表現により地球・地域環境問題の原因、プロセス、軽減と防止手法、ひいては社会の持続的発展のあり方を考究する「時と場」を提供するための方法論の確立を目的としている。本年度は以下の項目について研究を実施した。 1)環境教育理念の整理と実践における位置づけの検討:「環境倫理学の父」とも言われるAldo Leopoldならびにその基盤となったHenry D. Thoreauの思想が現在の環境教育に及ぼしている影響を、米国ウィスコンシン州ならびにマサチューセッツ州における自然ならびにその管理・教育システムから検討し、初等・中等教育のみならず生涯教育においても、当該思想が大きな位置を占めていることが明らかとなった。 2)環境教育教材の開発:砂漠化をテーマとしたエコツアー「体験!砂漠化」の補助教材(かつ、バーチャルエコツアーのための主要教材)として、プロモーションDVDならびにガイドブックを作成するとともに、スマートフォン用アプリケーション(Soilなう)の改良方針について検討した。 3)環境教育効果の把握と検証:2)を大学学部教育科目(本年度は「自然・文化ツーリズム入門」)の教材として利用し、アンケートによる環境教育効果を把握・検証した結果、70%以上の学生に対して環境保全に関する意識を喚起することに成功した。 4)エコツアー第2弾「水田にされた砂漠:なぜアラル海は消えねばならなかったのか?」の企画:当該テーマに関して主として文献調査ならびに研究者・関係者への聞き取りにより、その原因が不適切な灌漑農業にあり、エコツアーには、単なる環境問題の表面現象と修復策のみが語られるべきではなく、当該問題の社会的不可避性と意思決定者の責任にも言及することの重要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)環境保全・保護の主要な理論的背景を構築しているAldo LeopoldならびにHenry D. Thoreauの思想を歴史的に解析し、現在の環境教育におけるそれらの影響を明らかにすることにより、本課題の本質を理解させるための基盤が良く整備された。 2)砂漠化をテーマとしたエコツアー「体験!砂漠化」を広く理解させるためのツールとしてのプロモーションDVDやガイドブックを試作し、授業を通して、その環境教育効果を試験的に評価し得たのみならず、当該教材の今後の改良への指針を得ることにも成功した。 3)本研究のもう一つの課題であるエコツアー第2弾「水田にされた砂漠:なぜアラル海は消えねばならなかったのか?」の具体化に向けて、基礎情報を収集・整理し、問題点の明確化、コンテンツのコンテクスト化を推進することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は第2課題であるエコツアー「水田にされた砂漠:なぜアラル海は消えねばならなかったのか?」に関する研究をより重点的に実施するとともに、第1課題「体験!砂漠化」の環境教育効果の評価を継続し、その教材の改良を行う。具体的な項目は以下のとおりである。 1)エコツアー「水田にされた砂漠:なぜアラル海は消えねばならなかったのか?」の企画:これまでの文献ならびに聞き取り調査を踏まえて、6月に現地調査を実施し、当該テーマに関する自然・歴史・社会・経済情報を、AV情報を含めて収集する。それらに基づき、約1週間のエコツアーを企画するとともにガイドブックおよびプロモーションDVDなどの教材を製作する。 2)同上の実施と環境教育効果の把握と検証:1)の企画に基づき、9月に大学学部生を対象としてエコツアー(課外活動の一部)を実施し、参加者および非参加者を対象としたアンケートに基づき環境教育効果を把握するとともに、本企画を批判的に検証し、フィードバックすることにより企画案を改善する。なお、1)とともにエコツアーの実施にはカザフスタン共和国国立土壌・農芸化学研究所、動物学研究所などの当該研究機関の支援を受けることがすでに確約されている。 3)エコツアー「体験!砂漠化」の教育効果評価の継続による教材の改良:次年度も引き続き授業の一環として標記の効果を評価するとともに、教材をさらに改良する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)旅費:主として、上記1)および2)を実施するために旅費40万円を計上する。 2)物品費:上記1)に関して、主としてAV情報の取得ならびに教材製作を効果的に実施するためにビデオカメラ他の導入のために物品費10万円を計上する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Importance of climate and parent material on soil formation in Saskatchewan, Canada as revealed by soil solution studies.2013
Author(s)
Fujii, K., Morioka, K., Hangs, R., Funakawa, S., Kosaki, T., and Anderson, D.W.
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Journal Title
Pedologist
Volume: 57(1)
Pages: 27-44
Peer Reviewed
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[Journal Article] Soil nutrient loss from a cultivated field during wind erosion events in the Sahel, West Africa.2012
Author(s)
Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Tobita, S., Funakawa, S., Iwai, K., and Kosaki, T.
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Journal Title
Pedologist
Volume: 55(3)
Pages: 355-363
Peer Reviewed
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[Presentation] Effects of wind erosion on water balance in a crop field in the Sahel, West Africa.2012
Author(s)
Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Ishikawa, H., Funakawa, S. and Kosaki, T.
Organizer
2012 ASA, CSSA, and SSSA Annual Meetings.
Place of Presentation
Cincinnati, OH, USA.
Year and Date
20121021-20121024
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[Presentation] "Fallow band system” for wind erosion control and improvement of soil fertility in the Sahel, West Africa.2012
Author(s)
Ikazaki, K., Shinjo, H., Tanaka, U., Tobita, S., Funakawa, S. and Kosaki, T.
Organizer
Eurosoil2012.
Place of Presentation
Bari, Italy.
Year and Date
20120706-20120708