2011 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実感を利用した科学館展示における学習環境の研究
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23650517
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
浅井 紀久夫 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (90290874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀明 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (30251002)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 拡張現実感 / 科学館 / 構成主義 / 学習環境 / インタフェース |
Research Abstract |
本研究の目的は、科学館展示において拡張現実感環境を構築し、体験を通した知識や概念を構成するような学習を提供する仕組みを作ることである。そのために、拡張現実感を利用した提示手法や学習コンテンツを構築する。 該当年度は、マーカベースの認識ライブラリを利用し、拡張現実感を利用した学習コンテンツのプロトタイプを実装した。単なる映像音声を提示するインタフェースではなく、テーブルトップ環境での触知可能インタフェースとしての働きを持たせた。有線デバイスでの操作も可能にし、複数人が同時に操作できるようにした。 プロトタイプを展示環境に設置し、利用者の行動を観察した。その詳細な結果は今後の分析を待たなければいけないが、展示環境では子供を中心とした家族での利用が多いこと、触って見るマルチモーダル・インタラクションは来館者の興味を引きつけやすいことなどが観察された。拡張現実感を応用した学習コンテンツに反映させる基礎データになると考えられる。また、現実物体に情報を重ねて表示する機能の安定性が、コンテンツの評価に大きく影響することがわかった。そこで、まず、現実物体に安定して仮想物体を重畳する要素技術について改良を行った。現実空間において物体を認識するためには、通常、ビデオカメラで撮影した映像が使われる。映像中の物体を認識することは、現実空間とビデオカメラの幾何学的関係を算出することと等価となる。複数カメラを用いることにより、この幾何学的関係を安定的に算出する仕組みを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学館展示での拡張現実感環境の構築において、本年度は、1) プロトタイプの構築、2) 予備実験、3) 現実空間と仮想物体の整合について研究を行う計画にしていた。実際に、拡張現実感を利用した学習コンテンツのプロトタイプを実装し、科学館での実験展示を行った。また、現実空間と仮想物体との幾何学的整合性を検討した。要素技術の実装に課題を残しているものの、研究計画はおおむね順調に履行されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、プロトタイプに対して、現実空間と仮想物体を整合する要素技術を改良していく。マーカベースの認識システムは展示環境に制約を課すので、マーカレスの認識システムを並行して検討する。また、本年度実施した準備実験の結果を詳細に分析し、それを基礎データとしてまとめ、拡張現実感の学習環境としてのインタフェース機能の設計に取り入れる予定である。そして、こうした要素技術や機能が学習作業に影響するかどうかを調べる。さらに、科学館の展示において楽しく学べる学習コンテンツを、実環境での利用を想定しながら設計していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、1) システムの改良、2) 評価実験、3) 学習コンテンツの開発を中心に研究を進める。そのため、システムを改良するための開発費が必要である。これに必要な装置の整備も行う。評価実験は一般の科学館展示ではなく、実験室内での実施を考えている。評価に参加してもらう参加者への謝金が必要である。また、評価を実施するに当たり、評価環境を整備したり、データを記録したりするための装置や消耗品がである。学習コンテンツの開発では、科学館の展示を想定した設計を行う予定であり、科学館側との打ち合わせを行うための旅費が必要である。
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