2011 Fiscal Year Research-status Report
就職活動を機会とした自己調整スキル育成支援システムの開発
Project/Area Number |
23650548
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀬田 和久 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50304051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 謙次 東洋大学, 社会学部, 准教授 (80387084)
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (40254445)
馬野 元秀 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10131616)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 自己内対話 / SNS / アウェアネス |
Research Abstract |
オントロジーを組み入れたモバイルシステムとSNSを開発し,実践運用を見据えた試験運用を開始した.それを通じて運用ノウハウを蓄積し,オントロジーと支援機能洗練のための知見を得た. より詳細には,行動を振り返ることによる気づきを簡便に記録できるモバイルシステムをオントロジーを基礎にして開発した.就職活動における面接の後では,例えば「準備にどの程度時間がかかったか?」,「それは十分であったか」,「伝えたいことが適切な言葉で伝えることができたか?」,「不十分であったとしたら,自分の中でそれが本当に明確になっているか?」といった自己内対話の活性化を通じて自分自身の行動を統制する思考活動を洗練することが必要となる.このような自分自身についての思考の拡がり・深まりを促す特徴的な"自らへの問いかけ"とそれをきっかけとした気づきをSNS上に蓄積する仕組みを構築した.簡便な入力の仕組みと,グラフ構造表現による視覚的表示機能を実現して自分に対する理解の深まりとその気づきをもたらした問いかけを経時的にトレースできる仕組みを実現した. 実機には,iPod Touchを用いた.そして,自己の行動情報整理基盤と自己調整活動を促す刺激をオントロジーに基づいて与える機能をSNS上に実現した.iPod Touch上で実現した機能はSNS上でも利用可能としているが,個別の会社についての気づきや就職活動の各プロセスでの気づきから,これを自己内対話の情報タイプごとにまとめて提示し,自分への新たな気づきを促す支援機能をオントロジーを基礎にして実現し,気づきを生み出す自己内対話をSNS上に集合知として蓄積する仕組みをSNS上に実現している.開発は,オープンソースのOpenPNEにオントロジーを組み入れる形で行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において初年度は,システム開発を進め実運用することを目指した.しかし,実運用までは至らず,試験運用にとどまった点において計画に照らして少し遅れ気味である. 一方で,自己調整活動を特徴付ける自己調整スキルの概念体系については,パイロット構築を終え,利用者毎での問いかけの特徴を分析する準備が整えられている.そして,オントロジーで定義された語彙を用いて,自己調整スキルの発達特性を分析する土台も形成されたと考えている.この分析を通じて,就職活動領域での特徴的な自己調整学習スキル概念を峻別することで,オントロジーを洗練できる段階に至っている.これらについては,当初の計画よりも順調に進んでいるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,開発したSNSを実運用しシステムの有用性を実証運用する.就職活動を終えた希望者をメンター学生として募り職員とともにメンターとしてコミュニティに参加する. 自己調整活動を活性化する問い(オントロジー)を手がかりに特に認知方略に関するコミュニケーションを図り,自己調整スキル獲得を意図した交流を行うことを計画している.そして,匿名化されたデータから,利用者毎での問いかけの特徴を分析する. さらに,オントロジーで定義された語彙を用いて,自己調整スキルの発達特性を分析する.この分析を通じて,就職活動領域での特徴的な自己調整学習スキル概念を峻別し,それまでのオントロジーに書き加えることを計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実運用のためのサーバ計算機(20万円)を購入する.また,研究代表者,研究分担者の間での研究打ち合わせのための国内旅費として,年4回(東京⇔大阪1泊×1名(5万円×4回×1名=20万円))を予定している. オントロジーを洗練するため研究分担者1名も加わり連携研究者と議論を行うため50万円(25万円×1回×2名)の支出を予定している. 成果公開のための国内旅費としては,20万円(東京⇔大阪1泊1名:5万円×2人×2回)の支出を予定している. 成果公表のための国外旅費として,研究代表者が知識システムに関する国際会議でそれぞれ成果公表するため60万円(30万円×2名×1回)の支出を予定している.
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Research Products
(6 results)