2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650584
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野中 健一 立教大学, 文学部, 教授 (20241284)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生物 / 文化資源 / 実践地理学 / クロスズメバチ / アグー / 口之島牛 |
Research Abstract |
本研究は、生物を生かした地域資源の活用を対象として、地理学の人間-環境論の視点、地域を自然・文化・社会・経済の統合的にとらえ分析する方法論を提供し、生物の文化的特質と地域生活環境との融合を図る実践的研究を行う。生物資源への生活文化的価値付けによる地域文化資源の創出に地理学が寄与するとともに、地理学が現実社会への応用や新たな取り組みへの積極的支援できること、理論的バックボーンとして役立つ枠組みを構築することを目的としている。 生物を活かした地域資源化を、(1)生息環境の保全、(2)文化資源の形成、(3)文化価値の普及、の3つを柱として、文献研究ならびに事例研究を実施しそれらを統合して実践地理学的体系を構築する。 平成23年度は、地域資源活用と生物環境保全に関する研究動向の整理と事例調査を実施した。とくに、クロスズメバチ飼育、現地調査を行い、村落での普及および愛好会の活動を調査した。また、ラオス、パプアニューギニア等アジア地域の地域文化における昆虫食利用についての知見をもとにした昆虫利用文化をFAOの国際会議において報告した。人にとっての生物資源の文化的価値が採集活動や資源保護を促し、摂取においても重要であることを明らかにし、それに基づく国際的な昆虫利用の方策検討に寄与した。 また、農畜産物を生かした文化資源の形成に関しては、沖縄のアグーおよび口之島牛の飼育繁殖方法および文化資源化活動について実証調査ならびに食文化への活用の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は当初の実施計画にあげた在来豚アグーの文化資源化に関する現地調査と資料収集が、東日本震災の影響を受け相手側の都合がつかなくなったことと、クロスズメバチの農薬影響の分析で協力を依頼予定であった研究者が転任により都合がつかなくなったので、ともに次年度に見送ることとした。いっぽうでそのための準備を進めており、24年度に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度予定していた沖縄の在来豚アグーの文化資源化に関して、沖縄ならびにフランス等での現地調査を実施し、あわせてデータ集計分析も行う。それをもとに関係する研究者に研究発表等を通じて概念検討について助言をいただく。クロスズメバチの農薬影響に関しては、昨年実施予定であったアンケート調査・サンプル収集によるデータの収集を行う。そのための関係者(全国地蜂連合ならびにその加盟団体)とすでに打ち合わせを行い、アンケート実施方法、サンプル収集依頼を行っている。これらの事例の他にも生物の文化資源化に関する好例に関しての比較調査も行う。また、これまでの蓄積をもとに文化資源化モデルの構築について検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予定している生物の文化資源化の事例研究調査に加えて、昨年度の繰り越し分については、実証調査分として計画計上した沖縄の在来豚アグーの文化資源化に関する現地調査(沖縄およびヨーロッパ)を本年度に実施するよう計画を立てている。クロスズメバチの農薬影響に関しては、昨年実施予定であったアンケート調査・サンプル収集によるデータの収集を行う。昨年分と合わせて2度の調査を実施する予定であるので、それらの実施に伴う諸経費、分析依頼費に研究費を使用する。また、これまでの研究成果もあわせて分析結果、概念検討のための研究助言を得るため、研究打ち合わせにも研究費を用いる。
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