2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650584
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
野中 健一 立教大学, 文学部, 教授 (20241284)
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Keywords | 地域文化資源 / 野生生物 / 口之島牛 / アグー / クロスズメバチ |
Research Abstract |
本研究は、生物を生かした地域資源の活用を対象として、地理学が有する人間-環境論の視点、地域を自然・文化・社会・経済から統合的にとらえ分析する方法論を提供し、生物の文化的特質と地域生活環境との融合を図る実践的研究を行う。生物資源への生活文化的価値付けによる地域文化資源の創出に地理学が寄与するとともに、地理学が現実社会に応用され新たな取り組みへ積極的支援できること、理論的バックボーンとして役立つ枠組みを構築することを目的としている。 本年度は、クロスズメバチ飼育に関する地域文化資源化についてその飼育実態および地域文化活動を調べるとともに、ネオニコチノイド系農薬の被害認識と実態を調べた。11月の食用時期の幼虫・蛹からは残留農薬は確認されなかったが、8月の農薬散布時期にはハタラキバチの死亡が指摘され農薬害が認識されている。高齢化が進むいっぽうで若い世代の飼育文化継承の機運も生まれており、クロスズメバチ中心から「山の文化」地域資源の一つとして他の生物利用や食文化とあわせた総合的な地域資源として扱う方向にあることが明らかとなった。これに関して、山村産業の多角化への提言、クロスズメバチ食の比較文化的な提示を行い、山村生活の展示作業を実施した。 在来家畜の文化資源化に関しては、生活展示の可能性を農業利用の側面から検討した。また文化を生かした製品化と地域産業化を検討した。このために在来豚を復活させ地域ぐるみの産業として展開しているフランス・バスク地方のバスク豚の事例を実地調査した。地域アイデンティティとしての存在、地域の環境と資源を生かした飼育、農家の農業畜産経営への組み込み、付加価値を付けた製品化について知見を得た。また、農業博覧会での在来家畜の飼育展示を調べ、フランスの各地の在来家畜への関心の高さと維持努力が明らかになった。
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