2012 Fiscal Year Annual Research Report
高純度がん幹細胞培養法の構築とがん幹細胞特異的マーカーの同定
Project/Area Number |
23650597
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
尾崎 充彦 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40325006)
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Keywords | がん幹細胞 / 微小重力 |
Research Abstract |
「微小重力環境下での培養法」により純度の高い「がん幹細胞集団」を回収する系の構築を目的として以下の検討を行った。がん幹細胞は、ABCトランスポーターの高発現により細胞内に取り込まれた抗がん剤を積極的に排出することで、薬剤耐性能を有している。この性質を利用し、ヒトがん細胞株(LoVoおよびPanc1)に対し、CDDP 30μM、Gemzar 100nM添加培地で1週間培養して99%程度の細胞を死滅させた後、2週間抗がん剤無添加培地中において残存した細胞からコロニー形成させた。このコロニーを3Dクリノスタット(重力分散型人工無重力装置)にて微小重力環境下での培養を2週間おこなうことで、がん幹細胞が幹細胞性を維持したまま増殖効率の増加が見られるか検討した。細胞数をカウントした結果、LoVoおよびPanc1共に、通常重力下(コントロール)での培養条件と比較し細胞増殖能が高くなることを見出した。微小重力環境下での培養後、細胞は点在性に円形のコロニーを形成して増殖しており、単一細胞由来のクローンの可能性が示唆された。現在、微小重力環境下での培養により発現が変化するマイクロRNAについて検索中である。 これら微小重力環境下にて培養した細胞を回収し、免疫不全動物へ1x102~103細胞を接種し造腫瘍性を検討したが、いずれの細胞株においても造腫瘍性は観察されなかった。他方、微小重力環境下あるいは通常重力下で培養した細胞1x106個を接種した場合、培養条件に関わらず造腫瘍性を示した。 かかる所見は、in vitroの系において微小重力環境下での培養条件では通常重力下と比較しやや高い細胞増殖能を示すものの、必ずしもがん幹細胞集団を特異的に増殖させているといった当初の仮説を支持するデータを得ることはできなかった。
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Research Products
(1 results)