2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650606
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | HTLV-1 / 消耗T細胞 / 免疫療法 |
Research Abstract |
癌ウイルスであるHTLV-1やHCVなどの持続感染や、癌の存続を許す主原因であるT細胞の消耗(exhaust)から、ウイルス(癌)特異的T細胞のみを回復させる方法の開発が本研究の目的である.そこで,特定の消耗T細胞へのみ活性化遺伝子を導入するために、T細胞受容体の抗原認識部位を標的としたターゲッティング法を開発する。 本年度に、まずHTLV-1 のTaxを認識するCTLを特異的に認識するための分子を作製し,本分子が特異的にTax認識CTLを刺激してIFN-γを産生させることを確認した。本分子を表面に持つベクターを作製し、遺伝子を導入するためには、本分子が膜融合を引き起こすことが必要である。そこで、麻疹ウイルスのHとの融合分子を作製した。F蛋白質と共発現させることにより膜融合を引き起こすことを期待した。しかし、輸送効率が低く、野生型Hタンパク質の1/100しか表面膜に存在しなかった。輸送効率を上げるために以下の試みをした。1,本分子とH蛋白質の間にスペーサーアミノ酸を挿入し、個々のドメインが正しい立体構造を取りやすいようにした。2,不安定な蛋白質の輸送効率を上げる方法として知られている低い培養温度を試みた。3,F蛋白質の細胞質部分をHIV-1 Gagと相互作用できる配列に変えた。4,別経路の輸送を司るGRASP55を共発現させた。しかし、いずれの方法も効果がなかった。そこで、本分子を表面に持つリポソームを作製することに方針転換した。そのために本分子大量発現ワクシニアを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的分子の特異的な認識能を確認でき、さらにH蛋白質との融合分子の構築は順調に進んだ。しかし、この人工分子が細胞表面に輸送されにくいという予想外の困難に遭遇してしまった。このことを克服するために、種々の方法を試したが改善できなかった。そのために、新しい方法を採用する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
1、本分子を大量発現して、精製する。ついで、本分子を表面に持ち、膜融合活性を持つリポソームを作製する。2、クローニングしたTCRαとβ遺伝子を導入したCD8 T細胞を作製して,標的とする。また、CTL活性を測定する。3、作製したリポソームが内容物を標的細胞に導入できることを、先ず色素をマーカーに調べる。ついで、ネガティブシグナル遺伝子(PD-1等)のshRNAやT細胞活性化遺伝子(IL-1遺伝子等)を導入して、CTLの活性の変化をin vitroで調べる。4、HTLV-1担癌ラットにCTLを導入して治療効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の交付申請に当たって,研究打ち合わせなどのために、旅費を20万円計上していました。しかし、研究を遂行するに当たってe-mailや電話の活用によって2万9千円の使用ですみました。そのために,約20万円を24年度に繰り越します。24年度研究費使用計画:繰り越し分は物品費として使用する予定です。
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