2011 Fiscal Year Research-status Report
日光紫外線による三重項励起状態を介したシクロブタン型ピリミジンダイマー生成の証明
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23651044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池畑 広伸 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90250737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小村 潤一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10215410)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 紫外線 / DNA損傷 / 光化学反応 |
Research Abstract |
予備実験の結果から励起三重項を介したシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)生成では、DNA分子自体が直接光エネルギーを吸収して生成する可能性が大きいと予想されたので、直接DNAに常磁性体存在下で波長の異なる紫外線を照射し、CPD生成が抑制されるか検討した。常磁性体としてMn2+イオンを用い、対照としてMg2+の非常磁性金属イオンを用い比較した。紫外線については励起一重項を介した反応を誘発するUVCを殺菌灯で、励起三重項を介した反応をもたらすと予想される長波長紫外線をナローバンドUVBランプで、それぞれ照射した。CPDの検出・定量はモノクローナル抗体を用いたELISA法で行い、同時に64PPの検出・定量も同じ方法で行った。64PPは励起一重項反応の寄与の見積もりに用いた。その結果、UVBではMn2+イオン存在下でCPD生成が、Mg2+イオン存在下よりも抑制される傾向が確認できた。日光紫外線の波長域におけるメチルシトシン存在部位でのCPD生成促進が励起三重項を介した反応に起因している可能性を検討するため、ligation-mediated PCR(LMPCR)法などを用いて紫外線照射したゲノムDNAで塩基配列レベルの解析を行う実験条件を検討した。上記と同様にして常磁性体イオン存在下で紫外線照射したマウスゲノムDNAを用いたが、安定したDNA収量を得ることが困難であることがわかった。そこで突然変異を指標にしてCPD生成部位を推定する方法も併用することにし、UVCとナローバンドUVBで誘発された突然変異を比較する実験に着手した。更にUVA1でも影響を調べるため名古屋市立大学にある照射装置を用いて照射実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高濃度のMn2+イオン存在下でDNAが沈殿を生じやすくなることが、実験の問題点として浮上しており、これが本研究の進展を妨げている。沈殿すると回収が不安定になり、定量的な扱いが困難になる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き常磁性体イオンのCPD生成への影響を検討する。沈殿の問題を解決するため、非吸着性素材でできた実験器具の利用や、他の常磁性体イオンの利用などを検討する。本研究では電磁波や赤外線の利用も計画しているが、まず常磁性体イオンで安定した結果を出し、長波長紫外線によるCPDの生成が励起三重項を介していることを証明した上で検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費が当初申請していた予算額より大幅に削減され動物照射用の近赤外線照射装置の購入は困難になっているので、近赤外線については主にDNAと細胞を利用して研究を進めていく計画である。その他は当初計画通りに研究費を使用する予定である。
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