2011 Fiscal Year Research-status Report
超音波支援型超臨界二酸化炭素媒体を用いた有価資源の抽出回収プロセスの開発
Project/Area Number |
23651068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 義弘 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (80345933)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 超音波 / 超臨界二酸化炭素 / 抽出 / 資源回収 / 振動子インピータンス |
Research Abstract |
固体廃棄物または廃液中の有価資源を効果的に分離・回収できる技術として超臨界流体媒体を活用した抽出・回収技術が知られている。有価物質の抽出分離能を制御または向上させるために圧力,温度,エントレーサ等の検討がされているが,本技術のさらなる効率化を推進する,操作条件の緩和を図る上で,超臨界流体以外の物理化学的な方法との複合処理が考えられる。超音波は音響流やキャビテーション効果によるマイクロジェット,衝撃波のような物理的作用に伴う攪拌効果,物質移動促進効果を有するため,溶媒抽出法の効率化の促進する手段として応用が可能である。本申請研究では,高効率で環境負荷の低い抽出プロセスの構築を目指して,超音波技術と超臨界二酸化炭素媒体を活用した廃棄物からの有価資源回収技術の開発に向けた検討を行う。今年度取り組んだ内容,成果は以下のとおりである。1)液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素媒体および処理液の供給部,超音波抽出処理反応器,超音波照射制御部(振動子インピータンス特性解析部),回収部から構成されている超音波照射型超臨界二酸化炭素媒体抽出装置の開発を行った。一定条件範囲内ではあるが,超臨界流体媒体の流量,圧力,温度,さらには超音波強度,周波数(20kHz,500kHz,1MHz付近)条件が可変・制御可能な仕様になっている。2)上記装置を用いて,液体二酸化炭素または超臨界二酸化炭素媒体と接触した振動子に対して,様々な圧力・温度条件下で周波数を掃引しながら振動子インピータンス特性を調べ,各々の圧力・温度条件下で振動子インピータンスが極小値をとる周波数条件を探索した。その結果,温度,圧力条件によってはこの周波数条件の大幅なシフトが観測されるなど,幾つか有用な知見が得られた。これら知見を次年度以降の抽出処理実験の操作指針の一つとして活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の申請計画内容は,「超音波照射型超臨界二酸化炭素媒体抽出装置の開発」とその装置を用いて,「超臨界二酸化炭素媒体に安定的に超音波照射を行うための方法論を確立するために,超臨界二酸化炭素条件を満たす圧力,温度条件下での振動子インピータンス特性を検討する。」ことであり,概ね計画通り研究は進展したものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波照射下での超臨界二酸化炭素流体を用いた「固体廃棄物からの効果的な有価資源回収プロセス開発」の可能性について検討する。温度,圧力,超臨界媒体の流量,超音波強度,周波数を操作パラメータとして実験を行い,とくに抽出効率に及ぼす超音波照射効果の影響を明らかにする。さらに,操作条件の最適化を図る
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には抽出実験用の薬品,抽出流体媒体の二酸化炭素ガス,超音波発振用振動子,反応器,背圧弁,ステンレス管等の消耗品,さらに抽出物質分析用の試薬,ガラス器具,フィルター,分析カラム等の消耗品を購入する。しかしながら,実験の進捗状況に応じて,初年度検討した範囲外の周波数条件で実験を行う必要が生じた場合には超音波発振器用アンプを購入する必要がある。また,処理対象媒体に変更によっては流体媒体供給ポンプの備品を購入することもありうる。そのような事態が生じた場合は,理由書を添えて申請,購入する予定である。また,研究調査,研究成果の発表を行うために関連学会に参加する予定であり,そのための旅費,参加費として研究費を使用する。
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