2011 Fiscal Year Research-status Report
細菌進化におけるリコンビネーションの頻度と特性に関する研究
Project/Area Number |
23651183
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大坪 嘉行 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (40342761)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | リコンビネーション / 次世代シーケンサー / ゲノム進化 |
Research Abstract |
複数数の細菌種を滅菌土壌に接種して長期間のインキュベーションを開始するにあたり、滅菌処理した土壌の滅菌状態が長期間を経ても維持されているかについて検討を行った。その結果、滅菌処理した土壌からは、滅菌処理直後には生菌は存在しないが、数週間インキュベーションすると生菌が観察された。完全滅菌状態が達成されていないと、本研究課題の遂行に重大な影響を与えることが考えられた。このことから、オートクレーブ処理および乾熱滅菌処理について、処理時間と回数の検討を行ったが、試行したいずれの条件においても数週間後には生菌が観察された。そこで、放射線を利用した滅菌方法について検討したところ、50キログレイ/kg土壌サンプルの照射により、数週間後に生菌が全く観察されなくなり、完全滅菌が達成できたと判断できた。一方で、インキュベーション終了後に予定している回収細菌のゲノムの完全再決定を行う上で必要と考えられるコンピューターツールの作成を行った。すなわち、ドラフト配列をもとに効率良く全ゲノム配列を決定するためのツールを作成し、また、次世代シーケンサー特にイルミナ社が販売しているシーケンサー由来の大量のリードを効率良く処理するためのツールを作成した。前者に関しては、必要とされる機能についてその主要部分の作成を終え、β版という形ではあるがweb上での公開に至っている。後者に関しては、おおむね数ギガバイトにもなる大量リードデータを汎用のパソコンで処理できる様に配慮しながら、(1)k-merの出現頻度に基づくリードのフィルタリング機能、(2)リファレンス配列に対して100マッチするリードとそうでないリードを高速で分別する機能など、予想されるモザイク状に混合したゲノムを見いだす上で中心的になる機能の作成を終えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、土壌の滅菌は3度の間歇オートクレーブにより達成できていると考えていたが、長期間のインキュベーションを開始する前に念のために確認を行ったところ、完全滅菌はされていないことが明らかになった。このため、完全滅菌の達成に時間を取られたが、潜在する問題を長期のインキュベーションを開始する前に発見し回避できたという意味では研究は順調に進展していると言える。またコンピュータツールの作成については、効率良く解析を実施するためには当初考えていたよりもより多様な機能が必要性であるとの認識に至っているが、既に基本となる機能はすでに作成済みであり、当初の予定よりも順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
継続して土壌での混合培養実験を行う。また文献調査などにより、ゲノム内のgene conversionとゲノム間のrecombinationを区別可能な実験系の構築が必要であるとの着想に至っている。そのため、これが区別可能な実験系を構築する。また、より高頻度でrecombinationを起こすであろうことが期待される系として、ある細菌株について薬剤処理により変異をゲノム内に複数導入した株を複数株作成する。これら株を混合することで遺伝情報がモザイク状に混合した株を取得する。また引き続き、必要なコンピューター解析用のツールを作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
土壌の完全滅菌の達成に時間を要したため、次年度に使用する予定の研究費が発生した。今年度は、この研究費と合わせて、課題遂行に必要な試薬類、器具類などの消耗品を購入予定である。
|
Research Products
(33 results)